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型破りの転生勇者  作者: ハミガキ粉
王都編
25/45

サンドバッグ

「ここいつも暗いな、シュウキ灯り頼む」


 3人はできるだけ壁を背に、ゆっくりと電気まで手を伸ばし灯りをつけた。

 灯りをつけると、前回のようにベッドの上に娘がポツンと座っていた。


『シャドーノイズ』


 いつ襲われてもいいようにカズヤはスキルを使いながら、娘に近づいていった。

 だがいつまで立っても音は鳴らず、夜の森のように静まり返っていた。


「あ、あの……新しいメイドさんですの?」


 娘はカズヤを見て、怯えた目をしながら問いかけてきた。


「今は大丈夫みたいだ、ミカーヤ俺と交代。」


 カズヤに呼ばれたミカーヤは朝食を魔法で取り出し、笑顔で娘に近づいた。


「今日一日だけ担当のミカーヤです、後ろの美人さんがシュウキさんで、ヤバそうな人がカズヤさんです。」


「そうですのね! てっきりあの見た目ですし、不審者かと。女性を見た目で判断するのは失礼でしたわ」


 年齢が同じくらいのミカーヤが来たことで警戒心を解き、娘は声を高くしてカズヤをチラチラ見ながら話した。


「朝食を持ってきたんですけど、食べれそうですか?」


「ありがとう、いただきますわ」


 さすが貴族の娘。子供ながら言葉遣いがしっかりしており、まさに模範のようなマナーで食事を上品に食べ終えた。

 娘からはその一連の流れで、見た目にそぐわぬ貫禄が感じ取れた。


 食べ終わったのを確認すると、ミカーヤは収納魔法に片付けた。

 食事が終わると娘は再度カズヤの方をチラチラ見ながら、恥ずかしそうに申し上げた。


「恥ずかしながらカズヤさん、筋肉を触らせていただけませんか?」


「私ですか? わかりました」


「ありがとうございます。私母とは真逆で、カッコイイ物に目がなくて……あ、服は脱いでください」


 カズヤは言われた通りメイド服を脱ぎながら娘に近づき、触りやすいようにベッドに腰を掛けた。


「うわぁ凄い硬さですね! 肉厚も凄くて鎧みたいで、カッコイイです! ん? これは?」


 娘はペタペタと筋肉を触りながら、お腹についているあるものに気がついた。

御札だ。


「あ〜これは〜」


「剥がしてもいいですか?」


 カズヤはノイズがなる気配がない事を確認すると、一応予備の御札をポケットから取り出した。


「少しなら大丈夫です」


「やった! では、失礼して……わぁ! これはまたすごい腹斜筋ですね! 岩石み……」


パチッ


急遽なんの前触れもなく灯りが消えた。


ジジジジジジジジ


「ッッ! シュウキ! もう一回つけろ! 悲鳴が上がってなかった!」


 カズヤは消灯と同時にけたたましくなるノイズに、耳を抑えながらも冷静に指示を出した。

 急いで灯りをつけ部屋が照らされるのを待つと、ベッドには意識を失った娘が横たわっていた。


「クソ、やっぱりだ。僧侶から聞いたが幽霊がその身から抜ける瞬間は、気絶するらしい。まだ近くにいるぞ」


『ソウル』


 スキルを発動して霊道を探ると、可視化された霊道は娘からカズヤの胸に向かっていた。


「ミカーヤ道具!」


 シュウキはミカーヤに指示を出しながら御札を取り出すと、カズヤのおでこに貼り付け、カズヤを羽交い締めした。

 何かを察したカズヤは暴れようとしたが、一歩遅く鈴を握ったミカーヤが突っ込んできた。


「オラァッ! フン! フン!」


「もっとだもっと! 殺すきでいけ!」


「「ウグァァァァ」」


 カズヤを殴るとカズヤからは2つのうめき声が聞こえてきた。

 効いてることが分かるとミカーヤはもう片方の手に数珠をはめ、両手でラッシュを始めた。


「オリャァァァァ!」


「いけるいける! もう少し!」


 あと少しで殺せそうなところ、シュウキは振りほどかれミカーヤは吹き飛ばされてしまった。

 2人から距離取ると幽霊は御札を無理やり剥がし、カズヤの体から出てきた。


「お前ら少しは躊躇しろ! 戸惑え! あとミカーヤそれ使い方違うから! 幽霊殴れるってだけで、生身なら意味ない! めっちゃ痛いからなそれ!」


「当初の作戦通りに始めただけだろ! お前も聞いてただろあの作戦!」


「そうですよ! それに蹲ってる暇ありませんよ、ここからが本当の勝負です」

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