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型破りの転生勇者  作者: ハミガキ粉
王都編
24/45

電気

「なにか言ったらどうかね君達」


 主人は槍を構えてできるだけ隙を見せないように、ジリジリとにじりよってきた。


「ど、どうするみんな」


「何慌ててるんですかカズヤさん、ここは私に任せてください」


 慌てふためくカズヤに対し、ミカーヤは妙に落ち着いていた。

 そして道具をすべてその場に置き、主人の方にゆっくりと歩いていった。


『エネルギーコントロール』


 ミカーヤの体がバチバチと音を上げながら光ると、一瞬で消えてしまった。

 どこに行ったのかと探すと、いつの間にかミカーヤは主人の真後ろに回り込んでいた。

 ミカーヤは息を潜め主人が気づく前にうなじに狙いを定め、手刀を叩き込んだ。


「ッッッ! いつの間に後ろに、やはり賊であったか! よくも純粋なキクラを騙してくれた!」


 だがミカーヤの予想に反して、主人はうなじを抑えながら距離を取っただけであった。


「あ、あれ? 本で見たのと違う」


「ミカーヤ電気使え! 電気!」


 シュウキのアドバイス通りにミカーヤは再度背後を取ると、うなじに向かって両手を翳し、スキルを発動させた。


『サンダーチェイン』


「馬鹿! やめろお前ら!」


カズヤは焦って止めようとしたが時既に遅し。

 首に電気が直撃した主人は、声も上げず音もなく倒れてしまった。

 カズヤは冷や汗かきながら主人にかけより、手首や首を念入りに確認し、胸や口元に耳を近づけていた。





そして一通り終ると顔を上げ。


「ご臨終です……」 


「えっ……」


「ご主人死んじゃってんじゃん、何してんの! 幽霊退治するってのに幽霊増やしてどうするんだよ!」


「そ、そんな」


「お前ら知識もなしにやるからだよ! あんな電気首元に食らったら、しんじゃうに決まってるじゃん!」


 2人は顔面蒼白で慌てふためくこともせず、立ちすくんでいた。


「ミカーヤ早く! ボルトウェーブ胸の上において!」


「わ、わかりました」


 ミカーヤは言われるがままにスキルを発動すると、主人の胸にめがけ放った。

 電気が駆け巡ると主人の体は跳ねて、しばらくすると目を開いた。


「ご主人大丈夫ですか?」


「うっ……貴様らなん……」


バキッ


主人の言葉を聞くや否や顔面に膝蹴りを放った。





そして主人はまたしても息を引き取った。


「よし、死んだな。ミカーヤもう一度してくれ」


「おいぃぃぃぃ!! 何してんだお前! せっかく生き返ったのに、なんでまた殺してんの!」


「記憶残ってたから仕方ない、この際直前の記憶無くすまで続けるぞ。傷は俺のスキルで治す」







 こうしてカズヤ達は記憶がなくなるまでに、14回殺害し14回生き返らせた。

 主人は気絶していたことをカズヤたちに聞くと、前後の記憶を失った事に顔をしかめながら食堂に向かった。


「なんとかなったな」


「あぁ、俺たち犯罪者になったけどな」


「つべこべ言うな! 元はお前が電気使わせたからだろ」


 3人は今度こそ邪魔者が来ないことを確認すると、道具を再度用意して娘の部屋のドアを開けた。

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