七支刀
「よし! 全員準備できたな」
「バッチリですね」
「使い方もちゃんと復習したし行けるぜ」
3人はまだ誰も起きてないような早朝に早起きして、人知れず準備を始めていた。
自分が使う道具を空間魔法に仕舞うと、すぐ出れるように着替えを早急に済ませ始めた。
「みんなー朝だよー」
準備が終わると同時に、一階からオコナの声が響き渡った。
声が聞こえると同時に部屋を出ると、作戦通りに動き始めた。
「オコナ先輩おはようございます! 私みんなの分やっておくので本館言ってて大丈夫ですよ」
「え、いいの! じゃあ御主人様のご飯用意してくるから、ミカーヤちゃんお願いね!」
ミカーヤは朝食の時間ロスをなくすため、本館とメイド館で別れて作業できるようにオコナを本館に送った。
この役目は技術とスピードが卓越された、ミカーヤにしかできない作業だ。
ミカーヤが作ってる間に2人は他のメイドのみんなを起こして、時間短縮を図った。
「お前今日早起きだな。除霊できるって言うから1日だけ任せたけど、そこまで張り切る必要ないぞ」
廊下を駆けながら皆を起こしているとどこからか声をかけられた、声のしたほうを見るとツガが既に朝食を食べて歯を磨いていた。
カズヤはできるだけ時間を取られたくなく、軽くあしらおうとしたが、ツガの背後からオリセが現れカズヤの存在に気づいてしまった。
「あ、お二人さんおはようございます……」
「おう、おはよ。オリセお前は早く本館行くから、準備しておけ。じゃあいつもどおりここ任せたぞ」
カズヤの反応に察してくれたのか、ツガはオリセを引っ張って本館に行く準備を始めた。
早朝は古参のメイド達だけ本館で作業をし、他の努めて3年以内の者はメイド館の掃除から始まる。
だが娘が取り憑かれてからは古参の者は巻き込まれ療養中のものが多く、生き残っているのはスキルで自衛ができるオコナとツガとオリセの3人だけであった。
「全員おきたし朝食は済ませたことにして、俺は掃除を始めるか」
3人の迅速な仕事のおかげでいつも30分かかる最初の掃除は、たったの10分で終わった。
メイド達は準備が整うと急いで本館に向かい始めた。
カズヤ達も置いていかれないように、本館の食堂に急いだ。
「お前らほんと凄い早いな、これお嬢様の食事だから持っていけ。今日三人の仕事は全部外しといたから、お嬢様に付きっきりでもいいぞ。だが無理はするなよ、無理そうだったらすぐに言え、今まで何人も除霊師を呼んだが、みんなボロボロになっていたからな。」
「わかりました、行ってきます」
シュウキは料理を受け取ると、お辞儀をしながら厨房をあとにした。
3人は料理が溢れないように収納魔法に入れると、除霊道具を取り出しながら階段を駆け上った。
3階に辿り着くといつもとは違い妙にひんやりとしていた。
「多分あいつもいつもとは違うから、警戒をしてるんだと思う。2人とも警戒しながらいくぞ」
カズヤは周りに人がいないことを確認して、七支刀を構えながらゆっくりと廊下を歩み始めた。
ガチャ
驚きながらも3人は一斉に音のした方を向くと、目が覚めた主人がパジャマ姿で廊下にでてきていた。
「ふわぁ……ん? やぁ、おはよう。君達は確か、今日除霊をするんだってね。気をつけておく……」
カズヤは七支刀を隠そうとしたが、収納魔法に入れようにも間に合わなかった。
「君達、何で娘の部屋に武器など構えながら向かっている? 朝食を運びに来たんじゃないのか? どういうことだ? 危険な武具を持ち込むのは禁止だったはずだが。」
カズヤを不審に思い主人は壁にかけられた槍を手に取り、距離を詰め始めた。