雨降って地固まる
「ツ、ツガちゃん終わったみたいだよ」
「そうみたいだな……とりあえずお前達は3人が生きてるか確認してくれ、私は外の新入りを見てくる。それとオコナ怪我はないか?」
「みんなが守ってくれたから大丈夫」
一連の惨事が終わり危険がないことを確認するとメイド達ら3人の安否の確認に走り、ツガはオコナの無事が分かると外に走っていった。
「オコナ先輩! オリセ先輩とカズヤちゃんとシュウキちゃん全員無事です!」
「みんなありがとう! それじゃあ3人を脱衣所まで連れてきて、その後壁の修理に取り掛かって! 3人の事は私がなんとかするから!」
みんなが生きていることが分かると、オコナは髪を括りながら脱衣所に走った。
メイド達はオコナの指示に従い3人を運ぶ役と壁を修復する役に分かれ、迅速に仕事を始めた。
「おーい新入りどこにいるー! 無事なのかー? 声を上げてくれー」
ツガは壁の穴から外に出ると、辺を必死に走りながらミカーヤを探し始めた。
(やばいやばい! ここで見つかったら一巻の終わり! 絶対逃げ切ってやる! 目指すは私達の部屋! すぐ帰ったことにして誤魔化すしかない)
一方ミカーヤは壁が崩れた瞬間に中の惨事を見たことで全てを察して、気配を完全に消し去り逃げていた。
「ふぅ、見つからないもんだな。仕方ないからあれやるか……疲れるんだけどなぁ」
『秘密の花園』
両手を広げスキルを発動させると、ツガを中心に数多の花が目まぐるしい速度で広がり始めた。
「うわぁなんですかあの花! 多分絶対やばい! 捕まったらダメだって本能が叫んでる!」
凄まじい速度で迫ってくる花を振り切ろうと、ミカーヤは人生で出したことないほどの高速で走り始めた。
だが、後少しで玄関だというのに花の広がる速度はミカーヤよりも早く、玄関に辿りつくより早く捕まるのは明白だった。
そこでミカーヤは逆転の発送で走るのをやめ、優雅に歩きながら、そして不審のないように花に包まれた。
「ん? 新入りのやつもう玄関前にいたのか、心配はいらないな。それにしても結構速いんだなあいつ……花を解除して私も戻らないと」
ツガはスキルを解除してお風呂場に走ると、そこには壁の前で慌てふためくメイドたちが立っていた。
「先輩今変な花が!」
「すまんそれ私だ、落ち着いて壁を直しておけ。それで4人は?」
「脱衣所です!」
ツガはメイド達に場所を聞くと、上がった息も気にせず脱衣所に向かった。
脱衣所ではすでに3人が並べられ、ちょうどオコナが治療の始めようとしていた。
「ツガちゃんミカーヤちゃんは大丈夫だった?」
「あぁ、それより治療を早く始めるぞ。私も手伝う」
「ツガちゃん疲れやすいのにさっきスキル使ってたんだし無理しないでね? よし、やろう!」
『聖母の慈愛』
オコナはまず重症そうなカズヤに近づき胸の上に両手を乗せると、優しい光に包まれ始め傷が治り始めた。
「疲れたら私に言え、体力を戻してやる」
「ん、ありがと」
2人が協力したことにより、瀕死の3人はもの20分で完治してしまった。
「ふぅ、終わったな。」
「だね」
汗や血を拭き取り治ったのを確認すると、ツガは周りを見渡しドアが閉まってることを確認すると3人に抱きついた。
「うわぁぁぁん良かったよぉぉ! オリセもシュウキもカズヤも無事で良かったぁぁ」
「ツガちゃん相変わらずだね。そろそろみんな起きちゃうから抑えて抑えて」
感情が爆発したツガを宥めて落ち着かせて待つと、3人は次第に意識を取り戻し始めた。
「今宵はオリセが本当に済まなかった」
「ごめんね〜2人共痛かったよねぇ」
「いえいえ大丈夫ですよ、筋肉あったし」
「私もなんとか……」
オリセが目を覚ますとツガは真っ先に頭を掴み、むりやり謝罪をさせた。
2人は傷よりもこの事件により3人が担当を外されることを恐れていた。
一週間かけた親密度が振り出しに戻るからだ。
「お詫びと言っては何だが、2人の願いを何でも聞き入れる! それで許してやってくれ」
「え? ほんとにいいんですか!?」
「あぁ、約束する」
だか2人の不安などかすりもせず、思いがけない幸運が降り注いできた。
(これをつかえば娘の部屋に入れるんじゃ! 一時はどうなるかと思ったが僥倖だ!)
「わかりました! なのでどうか頭を下げるのは持つやめてください!」
「そうですよ! それでですが早速願いを聞いてほしいんです!」
2人は喜びながらせーので頭を下げながら3人にお願いをした。