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型破りの転生勇者  作者: ハミガキ粉
王都編
19/45

メイド一同心を込めて

「新入り大丈夫か? それにしても深く突き刺さったな、腰までズッポリハマってるじゃないか。」


「痛くはないですけど下半身がすごく寒いです」


「上に同じく」


「まぁ大変! 湯冷めしちゃってるのかも! ツガちゃん早く抜いてあげないと!」


 先程までとは打って変わって、皆落ち着いて状況整理をしていた。

 騒いでいたらオリセがいる限り、二次災害がおこるからだ。


「とりあえず引き抜くしかないな。お前ら全員水気を取って服着てこい、お前らまで湯冷めしたら大変だ。オコナはミカーヤに二人の服を頼んでこい。ついでに私の持ってきてくれ」


「わかった! すぐ用意する!」


ツガが指揮を取ると、皆一目散に従い行動を始めた。

 皆が行ったのを確認すると、ツガは冷静に慌てず壁を調べ始めた。


「あまり動くな、崩れたら大変だ。しかしなんでここだけすごく脆かったんだ? 怪我がなくて幸いだったが、どうにも腑に落ちないな」


「わ、わかりません。筋肉で貫いたとか?」


「馬鹿なことを言うな。筋肉があるからって、バニーガールが壁を破壊できるわけ無いだろ。それでお前は腕抜けないのか?」


 ツガに言われシュウキは慎重に腕を動かしてみたが、ミシミシと嫌な音がするだけで抜ける気配はなかった。

 圧迫されてそろそろ腕が痺れてきたシュウキは、カズヤのように腕を組めばよかったと後悔し始めた。


 そうこうしているうちに、服を着たメイド達が戻ってきた。

 ツガはオコナはまだかと気にしていたが、メイド達に必死に追いつくように後ろから走る姿を見て、安心して二人の方に向き直した。


「とりあえずみんなで引き抜くぞ! まず上にいる新入りから引き抜く! 全員新入りの腕を持って引っ張るんだ」


 ツガが体を拭きながらメイド達に伝えると、カズヤの元にメイド達が集まってきて腕を持ち、綱引きのように引っ張り始めた。


(ありがとう……モブ顔の皆さん、俺のために頑張ってくれて。感謝で胸がいっぱ……イダダダダダダ!)


「痛いです! 先輩! 腕じゃなくて胴じゃ駄目ですか!」


「そうはいってもお前の筋肉は分厚くて持ちにくいんだ。せめて取っ掛かりがあれば」


ボフン


 ツガの言葉を待ってましたと言わんばかりにカズヤの体はバニーガールに包まれた。


「ミカーヤがやったんですよ! 先輩バニーの耳引っ張れませんか」


「いいタイミングだな! 全員腕じゃなくて服を引っ張るんだ!」


 打開策が見えてきて皆は安堵しながらバニー服を引っ張りに行った。


(ツガ先輩のおかげでなんとかなりそうだな、バニー服があってよかったぁ。それにしてもこう見るとメイドのみんな服に個性出てるなぁ、果物柄や動物柄、それに裸……裸!?)


 カズヤは自分の目を疑いもう一度確認すると、そこには今最もこの場にいてほしくない悪魔が立っていた。

 皆も唖然とし、冷や汗をかきながらオリセを見つめていた。


「滑って気絶しちゃってたけど助けに来たよ〜! 引っ張ればいいんだよね? 任せて!」


「うわァァァァ! 先輩やめてエエエ」


「オリセ触るなぁァァァ」


「オリセちゃんストップ!!!」


「「「私達がやるので先輩は座っててください」」」


 皆が止めようとしたが、オリセの素早い動きの前では無意味だった。

 オリセはシュウキをまたいで肩にカズヤの腹を乗せて担ぐと、力いっぱい前方に踏み込んだ。






ベキィ!!





(あれ? さっきまでいたカズヤいきなり見えなくなって、代わりに天井が見えるぞ?)


 疑問に思いシュウキは視線を下にずらすと、真っ青になりながら仁王立ちをしているオリセと、壁に刺さったピンク色の赤い滝を流す鯱があった。

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