油断が一番悪い事につながる
(ふぅ、俺達がユニコーンという事はバレなかったようだな。この先洗うのや浸かるのを超えなくてはならない……だが、道中には生まれた姿の数多もの美少女! ユニコーンにならない為の解決法を見せるとき!!)
「なぁオコナ、あいつら何で睨み合ってるんだ?」
「私も気になってた! なんでだろうね? ライバル視して、お互いを高めあってるのかな! 2人共可愛いね!」
2人の視線の先にはモデル歩きをしながら、睨み合っている2人がいた。
本人達は至って真面目だが、傍から見れば腰を振りながら見つめ合っている姿は少々間抜けであった。
2人の奇怪な振る舞いに目を奪われていたツガは、あるの事に気がついてしまった。
「ん!? オコナ! 新入りの胸見ろ胸!」
ツガに肩を揺すられながら二人の方を見てみると、山脈のように凸凹した腕の筋肉の先に、お尻のような胸筋を抱えたカズヤが目に見えた。
「あ~カズヤちゃんね。胸筋でかいよね〜、ホルモンってものを入れたらあそこまでなるのかな?」
「違うって! その横!」
ツガに肩をペチペチと叩かれながらシュウキの胸を見てみると、真っ平らな胸があった。
「あ~……平たいね……」
「そう! 初めて勝ったの! 初めて!」
胸バトルで勝てたツガは嬉しそうにピョンピョンしながら、オコナに抱きつき始めた。
聞き耳立てながら歩いていたシュウキも、これには黙っていられなかった。
「なぁカズヤ。俺一応男なのに、なんかムカつくんだけど」
「まぁ許してやれ。20代なのに身長も胸も、ミカーヤに負けるほど恵まれてないんだ。少しぐらいは許すんだ」
2人は見つめ合って話すことで、視界の端に写る美少女達から意識を反らした。
2人は歩きにくい体制の中、必死に足を動かしてシャワーまで向かった。
6M……3M……2M……
後少しで管から降り注ぐ温水のオアシスにつくという時に、カズヤの横から破裂音が聞こえた。
恐る恐る視界を少し下にずらしてみると、シュウキの背中を叩きながらツガが歩いてきていた。
「新入り、洗いっこするか! 私がピカピカにしてやるぞ!」
シュウキにとってのラスボスが現れてしまった。
カズヤは今見た物を忘れる事にして、視線をシャワーにずらし一点に集中しながら足を早めた。
(すまん、シュウキ! 触れられているお前のダメージは計り知れないが、俺は視線を外せばユニコーンが現れない! どうにか頑張ってくれ!)
カズヤは後1Mの距離のシャワーまで、必死に腰を振りながら向かっていた。
その瞬間、視界の端から巨大な何かが目の前に現れた。
「ヘイヘイヘーイ! カズヤちゃん、どこ行く気だ〜い? この素早いオリセさんからは、逃れられないよ〜」
(来てしまった……ラスボス……しかもいつもよりテンションが高い……)
オリセは反復横跳びの体制になり、カズヤの周囲を回り始めた。
周りを回るごとに足を滑らすキュッキュという音と、バスケットボールがぶつかり合う音が鳴り響いた。
((あぁぁぁぁぁぁぁ!! ミカーヤ助けてくれええええ))