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型破りの転生勇者  作者: ハミガキ粉
王都編
10/45

新しい職業

風邪引いて2〜3時間しか寝てない状態で作ったんで、めちゃくちゃだったら報告ください

「よおぉぉぉし! 騒ぐな、大人しくまとめさせてくれ。」


 カズヤは二人の変貌に頭が追いつかず、混乱しながらも場を指揮しようとしていた。


「キッショ、お前きっしょ! 血迷いすぎだろ」


「引くわー……カズヤさん、リーダーもうやめてください。」


だが混乱しているのは二人も同じ。

 出てきたと思ったら、バニーガールになってる筋骨隆々のおっさんがいるのだ。

 二人はカズヤから距離をとり、両手を繋ぎ合わせて、引いていた。


「やめろその子羊みたいなポーズ、ムカつく。とりあえずだ。ミカーヤお前なんで、転職してないの?」


 バニーガールの変態はあぐらをかき、ドン引きのミカーヤから聞き出した。

 ふざけていたミカーヤは話を振られるのを待っていたと言わんばかりに立ち上がり、高らかに説明し始めた。


「転職しましたよ! ほら触ってみてくださいこの体温。人間に転職したんですよ」


ミカーヤは変態の手を取り、頬ずりをし始めた。


「うわ、ホントだあったけぇ。アッツ! お前摩擦考えろ、頬ずり早いんだよ!」


 凄まじい速度で行う頬ずりは、次第に煙を上げ始めカズヤの皮膚を削り始めた。

 だが興奮しすぎたミカーヤは、人間になれた喜びで痛みすらだ。


「あぁ、これが痛み! 熱! センサーでしか感じた事なかったけど、こんな感じなんだぁ。冒険者最高!」


 もはやミカーヤは敬語を忘れ、完璧な一人の世界に入っていた。

 不思議な事にカズヤの皮膚が削れていく中、ミカーヤの頬は傷一つつかなかった。


「いい加減にしろ。お前元ロボットだからって、防御力高すぎだろ。頬無傷じゃん」


「優先ステータスでしたので! 今は人間なので、全体的に高くなりますよ」


 やっと頬ズリをやめたミカーヤは、熱くなった自分の頬を触って遊び始めた。


「ヤベェなこいつ……で元ウンコ、お前はなんで女装してる」


 元ウンコはカズヤに話を振られると、ミカーヤのようにワクワクしながら近づいてきた。

 頬ズリを警戒して、カズヤは手を引っ込めながら話を聞いた。


「もうウンコじゃないぞ、人間だ! そしてこれは女装ではない、生前の姿だ。ちなみに17歳で身長186CM。お前の180CMより高い。そして、俺の名前を確認したまえ!」


 興奮しすぎて口調が変な元ウンコの言うとおりに、ステータスの確認をした。


『クサギ·シュウキ 性別♂ 職業冒険者』


「まじで女に転職とかじゃなくて、生前の姿なのね。名前はシュウキか。ミカーヤとシュウキは、二人共冒険者か」


 二人の転職をまとめてカズヤは動揺していた。

 未だに頬を触って喜んでるミカーヤ、手足がある感動で動き回ってるシュウキ、こんな変人達がまともに転職して、自分は……


「ネタに走ったの俺だけじゃねえかぁ! 何お前らウンコとロボットっていう、最強の個性捨ててんだよ! なんで俺だけ、バニーガールに転職してんだよ! 勇者の個性捨てたんだぞクソどもが!」


 カズヤの叫びに、ミカーヤとシュウキは面倒くさそうに睨んだ。

 心の叫びを邪魔扱いされたカズヤは、心が折れかけた。


「あ、ちなみに勇者って、強すぎるので一回しか転職できません。大体の勇者は転職せずに、勇者極めますね」


衝撃の事実。

 今まで黙っていたミカーヤから、とんでもない爆弾を投下された。


「俺一生バニーガールなの。嘘だよね? やめてよ、この服デフォルトなんだけど。着る服全部これになるんだよ?」


 狂喜乱舞の二人組み、阿鼻叫喚のバニーガール、この場はこの世で1番地獄だった。

そこに一人の兵士が現れた。

 怪しい二人組みを探していたら、草むらから声がするので確認しに来たのだ。


「なんだ、冒険者ですか。うっ……バニーガールの男性。ま、まぁそれは置いといて。この辺りに怪しい二人組みと、赤い動く球体を見ませんでした? 」


 兵士の言葉で一瞬にして現実に戻された3人、だが今の自分達は転職しているため、バレる心配はないと思い気楽に話した。


「知らないなー。あと俺のバニーガール見て、引くのやめてくれない?」


 話を聞く姿勢を見せているが、カズヤを直視しようとしない兵士に、カズヤの心は傷ついた。


「す、すみません。ちょうど貴方とそこの女の子ぐらいの、身長なんですけど」


話を聞いていてカズヤはある事に気づいた。

この兵士は一番弱いと言われていた兵士だ。

 カズヤはこの兵士を倒して、追手を無くす手が頭に浮かび始めていた。

 その時草むらから、オークが一匹飛び出してきた。


「うわ! シュウキミカーヤ戦闘態勢!」


「「おっけー」」



カズヤに言われ、二人は構えに入った。


「わわっ!」


兵士も負けじと震える切っ先をオークにつき出した。


「兵士は弱いんだから下がってろ。」


 カズヤは腰が引けている兵士の鎧を掴み、後方に引きずり飛ばそうとした、だが兵士は地面を滑らず、宙を舞った。

 自分のステータス上昇に驚き戸惑ったが、オークを倒せる自身が湧き始め、3人は立ち向かった。


「よ~し、やるか。今なら一人でも、オークをボコボコにできそうだ」


「そういえばカズヤさん、バニーガールの優先ステータスってなんですか?」


「俺も気になる」


 3人はステータスが遥かに上昇した事で、戦闘でも余裕を見せれるようになり、気楽に戦おうとしていた。

 その姿を見て兵士は羨望の眼差しを送り、オークは舐められてると気づき怒った。


「えっとね。うおっ危ね! すげえ、オークの攻撃が遅く見えるぞ! それでね〜優先ステータスは、体力」


「体力……」


「生々しい……」


空気がいきなり凍りついた。

 羨望の眼差しを送っていた瓶子は軽蔑の眼差しに変わり、共に背中を預け合っていたはずの仲間はオークよりもカズヤと距離を取っていた。


「何かお前ら今日俺に冷たくね? 酒場のストロンの時もそうだけどさ」


「ストロン……?」


3人の言葉を聞いていた兵士は、一つ思い当たる節があり考え始めた。


「確か勇者ストロンに濡れ衣を着せた男は、酒場で一度ストロンと騒動を起こしていた。そして酒場にいた人間は全員死亡が確認されている、なのにストロンとの話を覚えてるってことは。……怪しい男ってお前か!」


犯人と発覚した兵士は切っ先をカズヤに向け始めた。


「え!? そうなんですか!?」


「さっきあったばかりだけど、そんなやつとは!?」


 怪しい人に自分達は含まれてないことに気づいたシュウキとミカーヤは、いきなりわざとらしい演技をして、純白を示し始めた。


「えぇ、こいつは罪のない人を何十人も殺した、凶悪犯なのです。」


 兵士は二人が未関係なのを鵜呑みにして、ありもしないカズヤの罪を喋り始めた。


【ウウォウォ】


 オークは4人の話についていけなくなり、森の奥に帰っていった。

 そして今、言葉を漏らしてしまった事で、カズヤは兵士にバレてしまった。


「さてと。邪魔者がいなくなったところで、捕らえさせていただきますよ。」


 オークが去ったのを確認すると、兵士はカズヤにジリジリと詰め寄ってきた。


「まずい。でも俺達は強くなってるから、勝てるはずだ! 応援を呼ばれる前に協力し――」


 カズヤが振り向き言い終わる前に、二人はカズヤに奇襲を仕掛け、ボコボコに殴り始めた。

 兵士が呆気に取られている内に、二人に殴り回されたカズヤは気絶した。

 二人は一仕事終えたような満面の笑みを浮かべ、カズヤを兵士の元まで引きずり森の奥に去っていった。





「ふぅ、ミカーヤ一つ聞くが。お前はストロンに、顔見られてないんだよな?」


「はい。顔を見られていたのは、カズヤさんだけです。」


 二人はカズヤを差し出したあと、森を一応時間をかけて大きく周り、自宅に帰っていた。


「あっぶねぇぇ。あの場で正体がバレていたのは、カズヤだけだったからな。」


「えぇ、囮になってもらう他ないでしょう! 明日の裁判で弁護は一応しますが、できるだけ仲間とバレないように!」


二人は仲間を、しかもリーダーを売ったのだ。

 カズヤのおかげで安静を手に入れた二人は、高笑いしながら夜を過ごした。




―――遡る事5時間前―――


「起きろ! 変態バニー! ここでしばらく待機してもらうぞ」


 気絶していたカズヤは、兵士に蹴り飛ばされて目を覚ました。

 蹴飛ばされたカズヤは部屋の奥まで飛んでいき、壁に叩きつけられて肺の空気を全て吐き出して咽ていた。


「グェ。な、何だここは? 記憶が……」


「おう、わけぇの……お前なんか悪いことしたのかぁ……ここは留置所だ……」


「あ、御者! ここが留置所!? どういう事だ。てか、なんでお前がいんの」


 声に驚き振り向くと、御者がボロボロのベッドの上に座っていた。

 カズヤは跡切れ跡切れの記憶をつなぎ合わせ、気絶する前の事を思い出していた。


「あ、そうだ! あいつらが! バレてるのが俺だけだからって、差し出しやがったんだ畜生!」


「なんだと!? わけえのぉぉ……お前仲間に裏切られちまったのかぁぁ……仲間を裏切るなんて最低だ! それはオメェが悪い! わけえの何してんだ! 締め落とすぞ」


「お前相変わらずうぜえな。ん? そういえばお前はなんで留置所にいるんだ?」


 変わらず頭のおかしい御者に愛想をつかしながら、カズヤは話し相手として接し始めた。


「オイラなぁぁぁ……オーガと間違えて、銭湯に女のコーカン討伐に行ったんだぁぁ……戦闘だけにな!」


 明後日の方向を向きながら話していた御者は、決め台詞の時だけ顔をこちらに向けて大声で叫んだ。

 相変わらず変な御者にカズヤは、もはや尊敬すら覚え始めていた。


「要は痴漢だろ? お前どうしようもないクズだな。後コーカン上手くねえからな。戦闘も面白くねえぞ」


 カズヤは自分の事を棚に上げ、御者にダイレクトアタックを仕掛けた。

 カズヤの一撃に御者は少し眉を動かしたが、すぐさま明後日の方向を向き直し、話を勧めた。


「そうともいうなぁぁ……股間、股間とエロを求めすぎて、自分の沽券に関わることをしちまった!」


「だから上手くねえよ! あとお前そのドヤ顔やめろ、いちいちこっち向く―――まだ話してる途中だぞ! 明後日の方向向くな!」


 カズヤをガン無視して、御者はどこから出したのかサングラスをぎこちなくかけ始めた。


「サングラスかけたぐらいじゃ、カッコよくねえよ! こっち見ろって! どこに向けてドヤ顔してんの、せめてこっち向け! お前! 画風変えてカッコよくしようとすんな」


 御者の絵のタッチが見る見るうちに、乱雑に筆で描かれた渋い画風に変わり始めた。


「何だそれ! どうやって絵のタッチ変えてんの? その水墨画風のやり方教えろ! それ小説じゃできないやつだろ! 意味ねえだろそれ! 漫画じゃねえんだぞ」




「うるさいぞ二人!」


 カズヤと御者の話す声量がデカすぎて、二人は兵士に怒られた。

 あまりにうるさいので、兵士は執行の為、地下に降りてきた。


「お前達ぃ。明日裁判が起こるからって、騒ぎすぎたぞ? 遠足前の子供でも、もう少し大人しくできるぞ」


 兵士が降りてくると、怖いもの知らずの御者が部屋の角に逃げ、体を丸めて震え始めた。

 カズヤはどんな仕打ちが待っているのかと身震いしたが、気になる事があり、恐る恐る話しかけた。


「留置所って、普通一ヶ月とか入るんじゃないんですか? 取り調べもまだだし……」


「あぁん? お前の国の話とか知らねえよ。あと誰が喋って良いといった? お前にはお仕置きが必要だな。」


 頭のおかしい御者ですら怯えるお仕置き、カズヤは響きだけで体が震え始めた。

 カズヤが震え始めたのを見て、兵士は顔を嬉しそうに歪め2階にある物を取りに行った。


 戻ってきた兵士は両手に、ナイフとフォークを持っていた。

 そして、後ろからは大きなお盆が運ばれてきた。


(まさか、皮膚を切り落としたり、抉り取るのか!?)


 カズヤの想像はかすりもせず、兵士は二人の前で高級ステーキを食べ始めた。


「うめぇぇぇ! あ~美味しいなー! なんで幸せだろう」


「やめてくれぇぇぇぇ! わけえの! オイラが悪かったァァァァァ」


 後ろから御者の叫び声が聞こえる、カズヤは理解ができないでいると、地獄が始まった。

 兵士が指を鳴らすと、部下と思われる兵士が上から団扇を持ってきた。

 内輪を受け取ると、兵士は食事を中断して、匂いを牢獄の中に送り始めた。


「あ、あ、あ……やめろぉぉぉ!俺が悪かったぁぁ!」


「オイラを許してくれぇぇぇ!」


留置所に二人の絶叫が響き渡った。

だが兵士の猛攻はこれで終わらない。

 兵士はステーキを半分残した状態で、肉汁の上にフォークを倒して、わざと柄を漬けた。


「やめろぉぉぉ! お前まだ食い終わってないだろぉぉぉぉ!」


「この後変な持ち方で、拭く事にぃぃぃぃ」


残虐非道の兵士の拷問はまだ終わらない。

 兵士はシールを取り出すと、カズヤのベッドの手すりに貼り付け、勢いよく剥がした。


「ウワァァァァ! キレイに剥がれてない、白い部分が俺のベットにいィィィィ!」


「気になるぅぅぅ! 熱しながら剥がしてくれええ」


次に兵士はジグゾーパズルを持ってきた。

 兵士は丁寧に時間をかけ、完璧に499ピースを埋めていった。

 そして、最後の1ピースをカズヤ達の前で燃やした。


「はぅあ! あ、アガガガガ。グブブブブ」


「わけえのぉぉぉぉ! そんな、痙攣しちまってる! お、オイラもや、やばいいいいい!」


 二人はあまりの苦痛に痙攣をおこし、泡を吹いて倒れた。


「隊長! やりすぎです! このままでは、二人の命が!」


「ん、そうだな。柄にもなく、悪乗りしすぎたようだ。二人にプチプチとスライムを与えておけ!」


 部下に静止され、隊長は拷問をやめて2階に上がっていった。

 カズヤ達は壊れかけた精神を、スライムとプチプチで癒やしながら、なんとか眠りに落ちた。

あとがきはもう書きません。寝たいからです、おやすみなさい。

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