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恋愛神社

作者: さきら天悟

恋愛神社、それは愛知県にある。

ご存知のように全国一、寺社が多い愛知県、

その一つだ。


えッ、京都じゃないの?


愛知 4596

大阪 3395

京都 3286


※5月10日、グーグル検索。


圧倒的である。


N市にある。

名古屋から電車で1時間、ヘンピな所だ。





「素敵な彼ができますように」

20代半ばの女性が手を合わせ、呟いた。


願い事をした彼女は、せっかく愛知に来たのだから、

美味しいモノを食べて帰ろうと思った。

彼女は、ひつまぶしの美味しい店を予約した。




どうしよう、彼女はテーブルに置かれたひつまぶしを見て思った。

大きなおひつ、

薬味やノリが入った小鉢、

土瓶。

どうやって食べるのが正解が分からなかった。

顔をなるべく動かさず、目だけをキョロキョロさせた。

しかし、首を傾げ、うなだれてしまった。



「最初におひつを4つに分けるといいですよ」

隣の席の男性が見かねて声をかけた。


「4つって?こう」

彼女はしゃもじで、おひつを十字に切るジェスチャーをした。


彼は頷く。

「最初は、なにもせずにそのまま、

2杯目は、薬味を入れて、

3杯目は、お茶漬けで食べるといいですよ」

彼は土瓶を持ち上げ、お茶碗に注ぐジェスチャーをした。


「4杯目は?」

彼女は彼を見つめる。


彼は微笑む。

「気に一番気にいた食べ方をすればいいです」


「ありがとうございます。

私、ひつまぶしって食べたことなくて」

彼女はしゃもじを手に取った。


「ご旅行ですか」

彼は自然と言葉が出た。

女性と話すのは苦手で、仕事人間だった。

でも困っている人を助けるのは彼の性分だ。


「はい、東京からです。

東京と言っても、町田市ですけどね」

彼女はしゃもじでおひつを十字に区分けした。


「えッ、そうなんですか。

私は相模原市の橋本です」

彼は驚きの声を上げた。


「ウソ、私、多摩境駅から会社に通ってます」

彼女はしゃもじを握りしめたまま言った。


橋本と京王多摩境駅は、京王相模原線で一駅の距離だった。


「偶然ですね。

私は出張中です。

あッ、すみません。

食べてください」

彼は頭を下げた。


彼女も微笑み、頭を下げた。



彼女が食べ始めた。

味が濃いためか、食が進んだ。

大きなおひつだったが、

3杯ペロリと食べた。

最後はもう一度お茶漬けにしようと思った。


彼女が食べ始めて10分後、彼のひつまぶしも配膳された。

彼も食が進んだ。

と言うより、ご飯をかきこんだ。

最後にお茶を飲み、心を静める。

彼は立ち上がる。

そして会計に向かう彼女に言った。


「お時間よろしければ、お茶でも飲みに行きませんか」


彼女はゆっくり頷いた。

恋愛神社のお導きだと思った。




恋愛神社のご利益はSNSで話題になっている。。

一人や二人の話ではない、SNSに投稿したカップルだけで200を超えた。

実際にはその数倍になるだろう。

ご利益は絶大、いや威力と言った方が良いかもしれない。

当然な結果と言えるから。


まず、アプリをスマホにインストールし、ユーザー登録する。

そして実際の神社に言って、おみくじをひくだけだ。

そのおみくじのお導きによって行動すれば、

素敵な出会いが待っているのだ。


そんな出会い、偶然だって?



いや、必然である。

なぜなら、先ほどの二人の行動を完璧に把握し、

相性診断も細かくしているかだら。

年齢差、住んでいる所、職業と年収、

家族構成たとえば長女と三男とか、

趣味趣向、節約または浪費とか生活様式、

もちろん性格も。

そう、スマホから情報を得て、AIが二人をマッチングさせたのだ。



恋愛神社、正式名・愛神社。

そうAI神社。


愛知県が観光を推進するためのAI戦略の一つだった。

愛知県をAI地あいちにすると宣言し、

当選した愛知県知事・星野久人の発案だった。

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― 新着の感想 ―
[一言]  福岡県には恋の木神社(これ本当)があります。  AIの神社ですか、このご時世受けそうですね。  ちょっと世知辛い気もしますが、アリなしで言えばアリですね。  
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