1. 現状
真っ暗な世界に目を覚ました。
「あの時、死んだのか。"ありがとう" の一言だけでも言いたかったな。というか、ここは?」
-もう一度チャンスが欲しいか??-
どこからか声が聞こえる。
「はいっ。お願いします。」
救いがあると知るとすがってしまう。
こんな自分も嫌だ。
-時給は日本円で300円、もう死んでいるから保険は大丈夫っと。じゃあ働いてもらいたいんだけど、いい?? 断るともう希望はないよ。3秒以内に返事-
「はい!!!」時給の低さを感じつつも希望のない世界への恐怖で即答した。
世界は、自分の目で周りが少しわかるくらい明るくなった。
-私の名前はサトウ。先ほど仕事を受けてくれてありがとう。急用でな。まず仕事の内容を説明したい-
声だけが聞こえる。
10分間ほど説明を受けた。わかったことはいくつかある。この世界では死んだ瞬間から見た目が止まる。
また、死んだ後に後悔がある人は、努力をすれば救済処置がある。私がもともと住んでいた、日本への派遣留学制度である。
派遣留学制度が上手くいくように、何気なく助けるのが僕の仕事らしい。
「死んだ人が死んだ人の助けをするなんて不思議なもんだ。けど、頑張ろう。」
死ぬ前には抱かなかった気持ちが芽生えた。死なないとわからないなんて僕は馬鹿だ。
また、あたりは少し暗くなった。