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私と先輩と大福丸の話  作者: 千代丸
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8

そんなちょっとふてぶてしいところもあるが大福丸はごく普通のハムスターだ。

もちろん私も、大福丸に自分の危機に助けにくるよう特殊訓練などしていないし、マッドサイエンティストではないので巨大化する動物実験もしていない。


そもそも”これ”は本当に大福丸なのか?この大福丸と非常によく似た”これ”は、不審者の男が気絶した後、風船が萎むが如く急速に小さくなり、極常識的なハムスターのサイズに戻った。

そして私の足元までちょこちょこ移動してくると、後ろ足で立ち上がり、まるで『抱っこ!!』と音声がつきそうなポーズで固まった。

反射的にむんずと掴んで制服のブレザーのポケットにいれてしまったので、学校の職員室の片隅に座る今も右のポッケの温もりと重さが気になって仕方がない。


あの後、アンポン男子先輩は、動揺しながらもすぐにスマホで警察を呼んだ。

警察が到着するまでの間、私に近所の家から男手と不審者を拘束する紐を借りてくるように指示する。

すぐにパトカーがやってきて、近所のおじさん達にぐるぐるに紐で巻かれた不審者の男はパトカーで連れて行かれ、私たちは警官と一緒に学校に戻った。


学校に到達すると、連絡を受けていたであろう担任の後藤先生とその他諸々不運にもまだ学校に残っていたであろく先生方に出迎えられ、職員室に連行される。仙波先生は見当たらない。

というか何か問題が起こってみんなが集まる時仙波先生は素晴らしいタイミングで姿をくらます。私もそういう大人になりたい。

職員室に私とアンポン男子先輩は2人きりにして、先生方は廊下で警官と情報交換しているようだ。


『親に連絡した?』


アンポン男子先輩は2人になった途端遠慮がちに話しかけてきた。


『スマホ持ってません。』

『まじで?』


どうしてスマホをもっていないことで本気か?と問われなければいけないのかと腹が立ってくる。

うちは慎ましい母子家庭なのだ。小学校の時はキッズフォンを持たされていたが、使うことも無かったので中学生を機に基本料金が無駄だという建前と、持っていることで休日にプライベートな連絡の無い私を無駄に心配されたくないという本音を理由に母を説得してスマホから逃れたのだ。


『親の番号分かるなら俺の使っていいよ。遅いから心配してるだろうし。』

『大丈夫です。母は仕事でまだ帰っていないので。』


私は毅然とした態度を貫く。


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