表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と先輩と大福丸の話  作者: 千代丸
6/12

6

誰にも聞こえずに。


そのはずだった。



男の手が二三子の腕に触れるその寸前。


『いてっ!!』

男は声を上げて手を引っ込める。

咄嗟に痛みのする方に視線を向けると、男のかかとに白いネズミが全力で噛み付いていた。

否、そのむっちりとした丸い尻にはネズミの長い尻尾と全く違う、あるのか無いのか分からないほどの小さな毛の尻尾。


『は?!ハムスター?!なんで?!いででででで!!!』

『…大福丸?』


その白く丸いむっちりとした姿に、背に大福の透けたあんこのごとく薄茶の一筋の毛。まさしく、自宅でカゴの中にいるはずの大福丸そっくりのハムスターであった。

大福丸は男のかかとから歯を離すと、素早く身体を駆け登り頭の上に丸くなって座る。

その途端、ずんっとにぶい音がして、男の足がコンクリートの地面にめり込む。

何と男の頭上の大福丸がむくむくと大きくなっている。もはや大福丸は畳んだ冬布団くらいある。

ついに男は重さにたえきれなくなったのか、地面に倒れて動かなくなった。


その場に固まって動けずにいると、二三子の心の声が今度はちゃんと音になって聞こえてきた。


『なんなんだ、これ…』



ただし、その声の主は、茫然と立ち尽くすアンポン男子先輩だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ