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私と先輩と大福丸の話  作者: 千代丸
3/12

3

5時間目の終わりを告げるチャイムを聞いて、私こと小畑二三子のテンションが急上昇した。理由は言わずとも、5時間目だから!と。

さらに言うと今日は金曜日だから!明日は土曜日だから!

光の速さで机の中の教科書筆箱をリュック にしまい。すでに気の早い私の尻は椅子から僅かに浮かび上がって、飛び立つ時を心待ちにしている。


ガラガラと引き戸を鳴らしてお馴染みの担任の後藤先生が入ってくる。

今朝は見ているだけでイライラした髪の形に切った海苔を貼り付けたみたいな、おかしな形のショートヘアも、今はマッチ棒の妖精みたいにユーモア溢れる髪型に見えるから不思議だ。

エジプトの壁画みたいな謎の柄のロングスカートも、よく見るとたまに松明を持った頭部が狐の人が居るし、統一感があっていいじゃないか。


『今日は月最後の金曜日なので、委員会があります、各委員会終了後部活がない人はそのまま速やかに帰宅。部活がある人は顧問の先生の指示に従ってください。最近近隣で不審者の報告も多いので、いいですか?委員会後は速やかに帰宅してください。』


いや、やっぱ最悪のセンスだ、あの服。

うちのおばあちゃんちのトイレの壁紙にそっくりだわ。しかもトイレの壁紙にで薄茶色って何でおばあちゃんそんな色にしたのか子供心に困惑したな昔。

そんなに速やかに帰宅して欲しいなら委員会中止にしてくれよ。もともと月一の委員会なんてやってもやん無くても変わんないよ。もっと学校側の警戒を煽れるよう頑張れよ不審者。


飛び立つはずだった尻の翼はもがれ、急降下して墜落して傷だらけの心を胸に薄暗い廊下を理科室に向かって歩く。

理科委員会。数ある委員会の中で最も存在意義の薄い委員会だ。

その活動内容は実験器具の点検清掃。

あまりの業務の少なさから、他の委員会は各クラス2人ずついるにも関わらず、理科委員会は各クラス1人しか居ない。


『はい、揃いましたね。』


仙波先生は理科室にまばらに集まった生徒を見回して仰った。明らかに揃っていなくても仙波先生は毎度このように仰る。

器が大きいのか、脳の失われた領域が大きいのか、そのどちらかなのだろう。

今日も先生の頭には綿飴の残骸がくっついて風も無いのにフワフワと揺れている。

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