肆拾:初依頼
今年受験なので、しばらく投稿できません。
「タンジェントアークですか…………。聞いたことはありませんが、響きがいいですね。」
藍那だけでなくサティナもそう思ったようだ。だが、サティナはまだ、型の名前は要るのか、と思っていた。完全に理解し合うまではまだかかりそうだ。
「では、準備もできたのでギルドの依頼でも見に行きますか?」
その言葉を聞いて藍那は気がついた。…………まだ、一回も依頼を、受けてない!
「そうですね。…………ランクみたいなものはあるんですか?」
「いえ。全ての冒険者は平等になっていて、誰がどの依頼を受けても大丈夫です。…………もし、依頼をきちんと選ばずに帰ってこれなかったとしても、自己責任ですが。」
冷たいな、と藍那は思った。少なくともぬるま湯みたいな現代日本に生まれた藍那には、そう思えた。
「では、行きますか。」
「はい。」
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ギルドは、相変わらずの様子だ。藍那達は、一番すいているカウンターへ行く。
「こんにちは。どの依頼を受けますか?」
迎えてくれたのは、150cmほどの小柄な(藍那にとっては大きい)女性だった。
「えっと…………初めての依頼なんですが…………」
「でしたらこちらはどうでしょうか。剣狼ブレードウルフ10体の討伐依頼です。報酬は銅貨三枚になります。よければ詳細は説明します。」
間髪いれずに言葉が飛んでくる。流石コミュニケーションの職だ。
「じゃあそれで。」
「かしこまりました。プレートの提示をお願いします。」
藍那はプレートを渡す。
「勇者:鈴木藍那・騎士:サティナ・バースの依頼を認めます。生還を願います。」
こうして、初依頼が始まった。




