弐拾玖:この世界の現実と、二人の決意
藍那たちは1冊の資料を手に取る。それは、とても薄い。10ページくらいか。
藍那「では、開きます。」
藍那はその資料を開く。その先に待っていたのは………………絶望だった。その内容を書くと、こうだ。
ある日、神は退屈していたそうだ。ずっと退屈していたので、娯楽に飢えていた。その時、神はしてはならない思い付きをしてしまった。それは、人と戦うこと。それも、自分と対等の相手と、だ。しかし、理想郷にはそんな強い相手はいない。だから、勇者という存在を召喚させた。楽しむために。
そして、最後にはこう書かれていた。「――――これを読んだ異世界人が、無事に帰還することを願っている。 斎藤小太郎――――」藍那から込み上げてきたのは、怒り。哀しみ。藍那は、ある決断をする。
藍那「私は、神を殺す‼」
サティナ「……勇者様、私は、この文字が読めません。内容を教えてもらえますか?」
藍那「……サティナは、神を拝めていますか?」
サティナ「?いえ、拝めていませんが。」
藍那「なら、教えましょう。」
藍那は、サティナにこの本に書かれていたことを伝える。案の定、サティナも怒った。これはつまり、個人の娯楽の為に自分達を産み出されたと言われているようなものなので、当然だろう。藍那よりも怒るはずである。
サティナ「勇者様…………」
藍那「はい……………」
「「神を殺しましょう‼」」




