拾弐:蒼炎ノ焔
「なんでこうなったの!」
「わ、私に言わないでください!」
そんな言い合いをしながら、二人は魔物の大群を殺して行く。実は、サティナがこけたせいで音が響き、迷路中の魔物が集まって来ていた。その中には、魔物の突然変異の「亜種」や、「人獣」等もまじっている。人獣とは、魔物が人化したものであり、魔物の特性と、人間の特性の両方をもつ厄介な奴だ。しかも……
「ゴロス!ゼッダイゴロス!」
「ジネ!ゼンインジネ!」
と、言葉を発するのだ。人型で言葉を発するので、とても殺しずらい。まだ血がでなくて、塵になるのでマシだが、首を切った感触が手に残る。
「もうヤダ!我は勇者、神を殺す者、ここに水素と酸素が集いて、完全燃焼の蒼き焔を表し、我の敵を燃やせ『蒼炎ノ焔』!」
蒼白い焔が敵を一瞬で塵に変えた。
まさか初めての攻撃魔法をこうやって使うはめになるとは…………とは思いながらも、魔物を塵に変えて行く。
「……流石勇者様、蒼白い焔は、初めてみました。」
サティナは感心しているが、藍那は納得できない。
「もっといいシチュエーションがよかったです……。」
と思ってしまうのは、仕方がなかった。




