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拾壱:初めての魔物
藍那とサティナは、迷路を進み続ける。すると、サティナは足を止めた。藍那は素早く嫉妬ノ刀に手をかける。
そこには、毛が青くて眼が赤い狼が十数匹いた。
「この気配は……青狼です!」
「青狼?」
藍那から疑問の声が漏れる。
「ええ、魔物のなかでは単体では弱いのですが、群れを作るので厄介です。普段は森の奥で生息していますが、稀に人里へ降りてきて人間を襲います。」
「わかりました。援護をお願いします。」
藍那は、今作成した魔法を使う。
「我は勇者、神を殺す者。我の身体の能力を上げよ『能力上昇』」
そう詠唱をすると、嫉妬ノ刀で斬りかかる。刹那、青狼の首が弾けとび、塵となって消えた。藍那は息を吐く。ひとつ、気にしていたことがあった。それは…………
……よかった、血はでないんだ。
そう、平和な現代日本に生きる藍那は、生き物の命が血を流しながら消えて行く事を経験したことがなく、血に耐えられるか心配だった。だが、杞憂だったようだ。
「急いで、ゴールを目指しましょう。」
サティナの言葉に藍那は頷くと、先へ歩き出した。




