第九.五部 第四章 ギャラ〇ティカファントム
「な、なに? ギャラ〇ティカマグナム? 」
俺がパンチを食らった右頬を押さえた。
キョウカが突然、辞典を出して、調べ出してる。
表紙に漫画大全とある。
なんじゃ、それ?
「王室御用達の漫画辞典によると<リング〇かけろ>とか言う漫画の剣〇順が使う右のフィニッシュブローと書いてあります」
キョウカが言った。
<リング〇かけろ>って何?
「あ、王宮から持ってきたんだ」
ミヤビ王女が驚いてる。
「ええ、いつか使うかと思って」
ええ、使うか?
カルロス一世が俺の胸倉を掴んでゆさゆさする。
「ルイの叔父上から習ったフィニッシュブローだ! 貴様のせいで! 貴様のせいで! 」
カルロス一世が涙目だ。
「すいません」
流石に気の毒で謝らざるを得ない。
「何だよ、お前の国の一日一人五十回のノルマって! 」
カルロス一世が歯を食いしばりながら叫んだ。
え?
一人五十回?
何、その数は?
「三人で一日百五十回だぞ! いくら回復魔法や秘薬があるとは言え、人間の限界では無いか! 」
うわ。叔母さん嘘言ってら。
ミツキとアオイとミヤビ王女が顔を見合わせた。
「それ、多分、一日一人三回のノルマの間違いですよ」
ミツキが言った。
「え? 」
カルロス一世の顔が凍り付いた。
「流石に、五十回は無理でしょ」
ミオも言った。
「いや、だって、ルイもヒトミもアオイも……皆……」
カルロス一世が凍り付いたまま言った。
「騙されたんじゃないですかね」
アオイがストレートに言った。
カルロス一世が物凄い顔をした。
「はははは、そりゃ、妊娠するわな……はははははは」
カルロス一世が乾いた声で笑い出す。
やばい、逃げだしたい。
「なんで、ヤマトの一族ってこんなのなん」
樹老人が呆れ果てた顔をした。
「ギャラ〇ティカファントムぅぅぅぅ! 」
今度は左のパンチだ。
俺がまたしても吹っ飛ぶ。
「王室御用達の漫画辞典によると<リング〇かけろ>とか言う漫画の剣〇順が使う左のフィニッシュブローと書いてあります」
またしても、キョウカが説明した。
「何、そのパンチ? し、知らんがな」
俺が今度は左頬押さえた。
「多分、叔父って、前の宰相だった叔父だから、アニオタでも話が古いのよね」
ミヤビ王女が呆れた顔をした。
「お前のせいで、俺はエテルノに戻っても、ココドウリロの連中から距離を置かれて、すっかりぼっちなんだぞ! 」
カルロス一世が血の叫びをあげた。
うう、ぼっちになってしまったのか。
心が痛む。
無関心だったアポリトが涙を流している。
せつない。
「どうかしたの? 」
話が終わったのか、ルイ叔母さんが戻って来た。
「いえ、昔の話をしておりました」
カルロス一世が敬語だ。
しかも、ぴっと直立不動でやんの。
完全に飼いならされている。
なんという、切なさ。
「では、お腹が大きくなる前に結婚式を挙げたいから、急だけど必ず来てね」
ルイ叔母さんが俺を見て微笑んだ。
「ねっ」
ルイ叔母さんがカルロス一世を見ると、カルロス一世が満面の笑みで答えた。
「必ず、来てくれよ」
カルロス一世が右手を差し出して来たので握り返したら、カルロス一世の渾身の握力で俺の握手した手がミシミシいった。
「お幸せに」
俺も全力で握り返す。
「ははは、ありがとう」
言いながら、さらにカルロス一世が握り返してくる。
顔だけ笑顔で凄い雰囲気だ。
ルイ叔母さんは浮かれてるのか気にしてないが……。
「どうして、こうなっちゃうんだろうな」
樹老人が呆れ果てたように言った。
時間が空きましてすいません。
仕事の為、少し、ストックもやばくなって来ました。
頑張ります。