第九.五部 第一章 プロローグ
流石のカザンザキスさんである。
すっかり、しょげてた樹老人がやる気を取り戻したらしい。
その辺は凄く迷惑なんだが。
何も、この九Pの現場にテレポートして込んでも。
さすがの樹老人も驚いて目を瞑る。
その雰囲気が伝わったのが、全員が起きて、いそいそと裸の身体を毛布などで隠した。
「お前、昨日の今日でよくもまあ! 」
樹老人が驚いてる。
「いやいや、私は薬を飲まされただけですから」
俺が答えた。
俺が答えると少し恥ずかしそうに龍女さんが顔を隠す。
「まあ、いいわ。とりあえず。まずは、わしはお前をなんとか鍛えなおしてみようと思う」
樹老人が正座して、俺に言った。
「え? どうやって? 」
「まあ、修行じゃな」
「修行? 少年ジャンプかなんかですか? 」
「少年ジャンプ? 何じゃ、そりゃ? 」
「向こうの王道漫画雑誌ですよ」
「知らんわ。とりあえず、お前の力のコントロールを考えんといかん」
「コントロールですか」
「心を攻めるのも相手の思い出したくないものばかり引き出すしな。ますばそこを治さねば」
「いきなり、一番最難関じゃないですか」
「なんでやねん」
「この性格が治るなら、もうとっくに治ってますよ」
俺が胸を張って答えた。
「どんな自信なんじゃ」
樹老人が呆れたような顔をした。
「現実問題として、まともな人間なら親父に勝てませんが」
「む、むぅぅぅ」
樹老人が痛いとこを突かれたようで悩む。
「どちらかと言うと、前も言ったように、良い部分を伸ばした方が良いと思いますよ」
ミツキが助言を出した。
「良い部分? 」
「相手の嫌な所を平気でつく所とか? 他人が出来ない事を平気でやるとか? 逃げるのに躊躇が無い所とか? 」
「それ、良い部分なのかの? 」
樹老人が脂汗を流す。
「まあ、それで勝ってきたのも確かですし」
ミヤビ王女が横で言った。
「とりあえず、商人としては、<終末の子>たる器量は見えますし。何と言っても王の中の王になる要素がゼロとは言えないと思いますが」
ミツキが必死になってる。
「え? 王の中の王なの? 」
ユイナが目を輝かせて言った。
「やっぱり、独り占めは酷いよ、ねーちゃん」
ミオがアオイに怒った。
「独り占めとか、そういう問題じゃありません! 」
アオイがミオに拳骨を与えた。
「むう、とりあえず。気を長くして、良い所を伸ばすためにも、修練をつませるかの」
修練とか修行とか嫌な言葉が並ぶなぁ
「とりあえず、服を着替えたら、カザンザキスさんがいる、いつものラウンジのある居間に来い」
樹老人が俺の不服そうな顔を無視した。
いつも、読んでいただいて、ありがとうございます。