第九部 第五章 索敵
「さーて、親父は何処に隠れてるのかね? 」
俺が地図を見ながら呟いた。
こちらの世界の地図なんで、少し不正確だ。
一緒にいつもの面々であるアポリトとカザンザキスさんとクニヒト大佐と龍女と樹老人とアオイ達がいる。
「<終末の子>殿、それが地図か? 」
龍女さんが聞いてきた。
「ええ、パトリダなんかは正確なんですが、他国の地図は軍事機密の兼ね合いもあって、若干微妙ですがね」
「これはどうかの? 」
龍女さんが手を出すと、そこにスクリーンみたいなのが浮かぶ。
「え、衛星写真? 」
どうも遥か上空から撮られている映像のようだ。
「ずっと蒼穹の上に蒼穹船のいくつも端末が浮いておって、それからの映像じゃ」
「これはありがたい」
「いやいや<終末の子>のお役に立てるのなら……」
龍女さんが頬を染めた。
「ああ、ユウキで良いですよ。なんか<終末の子>とか言われるとどうも変な感じなもんで」
「い、いいのか? 」
「ええ。どうぞ」
「で、では……ユウキ殿……」
言って龍女さんが真っ赤になった。
何と言うか、新鮮だなぁ。
ぼっちなんで、こういうの経験したことないし。
「はいはい、その辺にしましょうね」
ぶすくれた顔でクニヒト大佐が言った。
ちょっと、アオイとかも目が怖い。
「分かったよ」
俺がクニヒト大佐とかアオイとかに答えた。
「で、これで見ても、特に向こうの船籍みたいなのは無いんだよね」
「おれの索敵でも、見つからなかったからな」
「偽装してたら、索敵で見つからないと言う可能性は無いのか? 例えば、島になってるように見せかけてるとか」
「……それは考えなかったな。確かに、例の空飛ぶ奴とかが出入りをしていれば見つけれるが、索敵も広範囲になると力を使うし、少し調べるのは厳しいな」
アポリトが困ったような顔をした。
「多分、草木とかで偽装してると思う。サイズ的にはそんなに大きくないが、潜水艦の基地と戦闘ヘリ数機くらいは運用できる大きさじゃないかと思う」
「それならば、索敵できるモンスターが蒼穹船から出せる。数は少ないですが、地上用でなく海底用のミニシードラゴンを探索させましょう」
「それは、ありがたい。もし、見つかったら、そこをアポリトの探索で調べて、状況によったら攻めるとしよう」
「ならば、場所が分かればわしにも襲撃を手伝わさせろ! 」
いきなり、窓の外から爆龍王ゴウオウが叫んだ。
皆がいきなりで驚いた。
「え? もう、傷はいいの? ぼっち王」
「ぼっちじゃ無いと言ってる! いい加減にしろ! 樹老人殿に治して貰ったわ! 」
相変わらず、ノリが良いな。
元気になったみたいだし。
「じゃあ、作戦にもよるけど、その時は参加してよ」
俺が言うと。
「あのように押されたままで終わるなど、わしの沽券に係わる。必ず、参加させて貰うぞ」
爆龍王ゴウオウが殺気をまき散らした。
「やる気なのは良いけど、さっきみたいに追撃戦とかやめてよ。父さん、相手を引きずり込んで潰すのは無茶苦茶うまいから」
ミツキが爆龍王ゴウオウに注意した。
「そんな、罠など噛み千切ってやるわ! 」
「とりあえず、指示には従ってよ。一か所が暴走すると全部引きずり込まれるから」
俺が爆龍王ゴウオウに言うと不服そうだ。
「ゴウオウよ。ユウキ様の言う事を聞きなさい」
龍女さんが爆龍王ゴウオウにたしなめるように話しかけた。
「……むう、分かりました。では、<終末の子>よ。絶対、仕留める時はわしを使え」
爆龍王ゴウオウが仕方なしに言った。
へー、龍女さんの言う事なら聞くんだ。
これはいいや。
「とりあえず、親父のねぐらを見つけてからが勝負だよね」
俺が皆を見まわした。
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