第九部 第四章 猛禽
パトリダの街並みを三人の女性が歩いてる。
第四王女のキョウカと第九王女のユイナとアオイの妹ミオだ。
三人とも簡素だが気品のある旅装をしている。
「本当についてくると思わなかったわ」
アオイに良く似た容姿で少しボーイッシュなミオがキョウカを見た。
「しょうがないじゃない。このまま引き下がれないし」
髪をショートにしたボーイッシュな格好の第四王女のキョウカが答えた。
「恋は真剣勝負だもんね」
髪をセミロングにした第九王女のユイナもいきいきとして答えた。
「とりあえず、これからどうする? カザンザキスのお爺様に会うとこちらに来てるのばれちゃうしね」
ミオがキョウカとユイナに聞いた。
「まあ、アオイが警戒するだろうしね」
ユイナが呟いた。
「にしても、酷いよね。ミヤビの奴、私達から攫っといて、しれっと捕食したみたい」
キョウカが愚痴った。
「ええ、マジで」
ミオが眉をひそめた。
「逆にチャンスじゃない? 捕食しないタイプかと思ったけど、ちゃんと食べてくれるなら、それはそれで良い事だと思うわ」
ユイナが笑った。
ユイナは前向きな考え方をする子のようだった。
「あんまり、そういう色っぽい話流れて無かったものね」
キョウカがため息をついた。
「にしても、綺麗な街並みね。さすが観光地なだけあるわ」
「前におねーちゃんと来た時は歴史はあった街だけど、これほど綺麗じゃ無かったわ」
「じゃあ、やっぱり、ユウキ様のおかげって事ね。失敗したわ。王宮に引きこもってる時に狙えば良かった」
「私は狙ってたんだけどな。ちょうど病気しちゃってて、行けなかった」
キョウカが少し残念そうだ。
三人が少し、街から外れた方へ入っていく。
「で、貴方、何なの? 」
キョウカが聞いた。
壁の陰から仮面を被ったケモミミ女が出てくる。
「なるほど、気が付いてましたか」
と言うが早いか、ユイナのスキル蜘蛛の糸でグルグル巻きにされるとケモミミ女は逆さ吊りにされた。
「ち、ちょっと、話の前にしますか? 」
ケモミミ女が大慌てになった。
「当たり前でしょうが! 仮面なんか被ってる奴なんて碌なもんじゃないわ! 何よ、赤〇彗星のせいで逃げられちゃったじゃないの! 」
ミオがこないだの恨みを晴らすかのように叫んだ。
「えーと、赤〇彗星ってなんです? 」
ケモミミ女が不思議そうに聞いた。
「五月蠅い! 」
ミオが逆さにぶら下がってるケモミミ女を蹴った。
「ま、待ってください! 貴方達の狙ってる男に関する情報を渡そうと言うのですよ! しかも、こちらは協力しますし! 」
ケモミミ女が必死だ。
「胡散臭いわね」
キョウカがケモミミ女を胡散臭げに見た。
「安心してください。本当に大丈夫な話ですから」
ケモミミ女が笑顔で答えた。
「じゃあ、そのまま聞いてあげるから言いなさい」
ユイナがじろりとケモミミ女を見た。
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