第九部 第一章 プロローグ
仏説摩訶般若波羅蜜多心経 観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 ……
さっきから、延々と心の中で般若心経を唱えている。
龍女さんがカザンザキスさんの家に樹老人の力でもう一度だけテレポートして戻って来たのに、離れない。
これがまた、凄くいい匂いである。
さらに、ナイスバディだったりする。
樹老人は爆龍王ゴウオウの治療をするとかでカザンザキス邸の外に出ていない。
テーブルを挟んだ向こうにアオイとミツキとミヤビ王女とムラサキが凄い顔でこっちを見てる。
すげぇぇぇ怖い。
クニヒト大佐が部屋に入ろうとして、雰囲気を察したのか入って来ない。
ここで、君の突込みで、場を誤魔化したいのに。
龍女がアオイ達の様子に気が付いた。
「そこの女どもは何なのじゃ? 」
龍女が俺に聞いてきた。
「「「「妻です」」」」
アオイをはじめ四人全員が答えた。
え?
まだ婚約者じゃん。
ついでにムラサキは男の娘なんだが。
と思いつつも怖くて言えない。
「ほう、なるほどな。これほど美男子の<終末の子>殿なら、それくらいいるじゃろうな」
ブサでは無いが、言うほど美男子ってわけでも無いと思うが……。
これは、あれだな。
最初に来たのが酷い自称魔王なので、比較対象で美男子に見えると言う奴か。
それとも、昔は俺みたいな顔が美男子だったのか?
良く分からん。
「貴方が妻になるのは構いません。しかし……」
アオイが代表して言った。
「なるほどのう、いろいろと先達には配慮しろという事か」
「はい」
アオイが言うと同時に他の四人も頷いた。
「ならば、いいものがある」
龍女が懐から、小さな金色の丸薬が入った小瓶を出した。
「ちゃんと、我と同じく、そのままであるように保存してあった。龍族の最強の秘薬じゃ」
「最強の秘薬? 」
ミヤビ王女が聞いた。
「うむ。これを<終末の子>殿が飲めば、効果はてきめん。飲んだ後はずっと効果が残る。我らと致せば、我らの方が数倍の快感を……」
龍女が皆を見回した。
「は? 」
え?
何、それ?
媚薬みたいなもんなの?
「「「「まあ! 」」」」
アオイ達の殺気が一気に消えて、いきなり友好的な雰囲気に変わる。
は?
それで、いいの?
そんな事で仲直りなの?
「何しろ、<終末の子>殿も妻が恐らく多かろうと思って、土産として準備した。これなら、先達の妻達も大満足であろう」
うわ、アオイ達が頬染めて凄く嬉しそうだ。
「え? 俺は? 」
「妻が喜ぶなら、夫もうれしいものじゃろう」
龍女が胸を張った。
アオイ達が頷いてる。
これじゃ、猛禽じゃんか……。
俺が脂汗が出るのを自覚した。
段々、仕事時間が不規則になって来ました。
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いつも、読んでいただいて本当にありがとうございます。
後、時間空きますが、もう1話、なんとか、今日投稿しようと思ってます。