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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第一部 第八章 包囲殲滅戦


「なんと言う事でしょう」


 山の中腹の目立たない場所に作った本陣の中で、俺は目の前にある山のような金貨の革袋を見て笑いが止まらなかった。


 なんて儲かるんだ。


 スキルも逃亡から大逃亡に変わったおかげで、今いる三百名の騎士達全員に逃亡スキルが使える様になった。


 お蔭で全員でかなりの高速で逃げれるようになった。


 それを使って攻めて奪っては逃亡。攻めて奪っては逃亡。


 今回は、轟天(ごうてん)を組み合わせてお金を奪っては逃亡で大儲け。


「何をやってんのよ」


 ミヤビ王女が呆れたような顔をした。


「何か敵と戦ってるのか? 山賊でもやってるのか分かんなくなってきたんだけど」


 クニヒト中尉が愚痴った。


「心配するな。ちゃんとみんなで平等に分けるよ」


 満面の笑顔で俺が答えた。


「そういう問題じゃないでしょ」


「まあまあ、結果的には、相手の補給線を叩いてるわけですし」


 ヨシアキ大尉がミヤビ王女を宥めてる。


「結果論でしょ。お金にしか目がいってないじゃない。あんた守護神の不動明王にも怒られたんでしょ」


 先日、不動明王から御説教を受けた。金ばかり狙ってはいけないと。


 自分の守護神から説教を受けるのは、この世界では凄く恥ずかしい事らしい。


「だから、食糧はこの辺の民に配ってるじゃない」


 俺が答えた。


 アレクシアはかなりの重税らしく、このあたりは飢えてる村が多かった。

 

 それで、食いきれないくらい奪った糧食を内緒で近隣の村々に配ってる。


 まあ、アレクシアが重税で奪ったものを我々が奪って返してるだけなので、威張れる話では無いが。


「それで、近隣の村々も皆、庇ってくれるようになりましたからね」


 ヨシアキ大尉が笑った。


 さすがに、食糧を配った成果は凄かった。


 一部で義賊とすら言われてるようだ。


「まあ、人気取りだよね」


 クニヒト中尉が俺を小馬鹿にするような顔をした。


「違いますよ。ユウキ様のお優しさですから」


 ムラサキが俺を庇ってくれた。


 ムラサキはいつも俺を庇ってくれる。


「で、本音はどうなの? 」


  ミヤビ王女が聞いてきた。


「いや、彼らは共犯者だから」


 とりあえず、俺達が奪った食糧を貰っちゃったら、彼らも俺達を庇わなきゃしょうがないしね。


「「「「黒っ」」」」


 そこにいる人達が皆ドン引いてる。


「大変だ! 」


 偵察に行っていた騎士が慌てて走って来て叫んだ。


「どうしたの? 」

 

「アレクシアの全軍がこちらに向かってきてる。俺達を潰す気だ」


「嘘だろ」


「どうすんだよ! 敵は十万以上いるんだぞ! 」


「それも街道をふさぎながら、千単位の軍に分散させて向かってきてるようだ」


「なるほど、轟天(ごうてん)対策か」


 俺がうなるように答えた。


「どうする。このままだと、勝負にならんぞ」


 ヨシアキ大尉が顎に手を当てて言った。


「心配するな。すでに手は考えてある」


「どうするんだ」


「そこの山をずっと奥に言ったところに暴龍の洞窟があるだろ」


 俺が山を指差して言った。


「待て待て待て、あそこは確かゴールデンドラゴンの爆龍王ゴウオウが眠っているって言われてる場所じゃないか」


 ヨシアキ大尉が慌てているようだ。


「爆龍王ゴウオウは昔、大陸の半分を焦土にしたとか言われてるのよ」


 ミヤビ王女の声が震えてる。


「数千年前の話だがな。まあ、だからこそアレクシアの奴らも簡単には入って来ない」

 

 答えながら思う。

 

 馬鹿馬鹿しい。


 爆龍王が暴れたのは数千年前だ。


 そんなの生きてるわけない。


 ああ、ファンタジー世界は良いなぁ。


 まあ、だからこそ助かるのだが。


「どちらにしろ、敵も間近だ。あそこに隠れるしか無いでしょ」


 俺が皆を見回して、笑って答えた。




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