第八部 第八章 親父
樹老人が緊急事態なので、力を相当使うが仕方ないと言う事で、全員を龍女がいる島にテレポートさせた。
目の前で本当に爆龍王ゴウオウが苦戦してる。
もう、爆龍王ゴウオウの口元がズタズタだ。
爆龍王ゴウオウの口の中が弱点だったんだ。
こんな手があったとは。
樹老人が機関銃と言うから、何かと思えばM2重機関銃だ。
テレビ映画なんかだと、軽く見られてるが、現実にはトラックだってミンチに出来る。
通常の人間が一人で持って撃てるようなものでは無いのだが。
ミツキがM2重機関銃を腰だめで構えてる人間に叫んだ。
「お父さん! やめて! 」
しかし、親父は攻撃を辞める気配が無い。
完全にここで爆龍王ゴウオウを終わらす気だ。
俺が目の前に轟天が転がってるのを見て、即座に飛びついて、抜いて構えた。
「構えっ」
俺が轟天を構えたのを見て、親父がM2重機関銃を撃つのを止めた。
親父の背中に刀かけてあるのと腰に銃床が折りたたみ式のМ4カービンをしょっている。
М4カービンはアメリカのアサルトライフルだ。
M2重機関銃の弾が尽きたら、М4カービンで対応する気なんだろうな。
一応、接近戦用に刀も持ってきたと言う事か。
これだけ所持してて、M2重機関銃を腰だめとか……相変わらず普通の膂力ではない。
親父がM2重機関銃の銃口を下に向けた。
「やっと来たか、馬鹿息子が」
親父が俺を見て言った。
だが、笑ってない。
殺気はそのままだ。
銃撃がやんで、ほっとしたのか爆龍王ゴウオウが膝をついた。
「信じがたい。たった一人の人間があちらの武器があるとはいえ、爆龍王ゴウオウをここまで追い詰めるとは」
樹老人が本気で驚いてる。
「やはり、生きてたんだ」
ミツキがうるっとしてる。
「当たり前だ。死んだように見せた、あれは偽装だ」
親父の殺気が消えない。
「やばいな。本気で殺す気のままだ」
俺が呟いた。
「兄弟。向こうの森の中にこないだのタンカーに乗ってた空飛ぶ奴がある」
アポリトが小声でスキル索敵の結果を教えてくれた。
「だろうな。殺気が消えない。立ち位置が向こう側って事だ」
俺が小声でアポリトに答えた
「どうせ、馬鹿息子のお前がやったんだろう。お前が豆柴モドキを送ってきたせいで、世界が大混乱だ」
親父が憎々しげな顔をした。
なんだ、バレバレやんか。
「まて、お主はこちら側の人間でないのか。なぜ、我らに敵対する」
樹老人が言った。
「俺はこちらの世界に飽き飽きしてたんだ。だから、戻ってくる気も無かった。だから、そのまま縁を切ってくれれば良かったんだ。それなのに、その馬鹿息子みたいなものを産まれさせやがって」
親父が歯軋りするような顔をした。
「馬鹿息子はこちらの世界の味方をするようだな。ミツキはどうなんだ? 」
親父がミツキをじっと見た。
「わ、私は……助けても貰った恩を返すだけ……」
ミツキ迷ったようだけど、答えた。
「俺はズバリ流されてるだけ」
俺が胸を張った。
「おいおい、酷いな」
クニヒト大佐が呟く。
「流されてるだと? 豆柴モドキであれだけの事をしでかしてか? 」
うーむ。
やっぱり、それなりにあったのね。
怖いので聞きたくない。
「家族が死んだことになった後、ずっとぼっちだし。生きてくのに必死で、流されていく以外方法が無いし」
俺が言い返した。
「なるほど、俺のせいだと言う事か? 」
「いいや、親父には親父の都合があったんだろうし、俺には俺の都合があるし、いちいち敵だ味方だと言われたって困るって事が言いたかった」
「なるほどな」
「まあ、一つだけ言えるなら、ヤマトを滅ぼすならどうぞ」
俺が凄いいい笑顔をした。
「おいおいおいおいおい! 」
クニヒト大佐が突っ込んだ。
「やっぱり、兄貴とか弟とかにいろいろやられてんのか」
親父が少し笑った。
「無茶苦茶やられてるよ」
「そうか」
懐かしそうな顔を親父がした。
「……さて、どうするか。俺は引く気が無いが」
親父が俺を睨む。
「俺も引けないよ。残念だけど」
俺が本当に残念そうに答えた。
「じゃあ、仕方ない。殺しあうか」
親父が言って俺が頷いた。
ミツキもしょうがないって顔してる。
「え? そう言う結論になるの? 」
カザンザキスさんが驚いてる。
「お前等、どういう家族なの? 」
樹老人も呆れて言った。
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