第八部 第七章 翻意
「ちょっと、お前、早く来てくれ! 」
樹老人がかなり焦ってる。
「一体、樹老人様どうしたんですか? 」
アオイが聞いた。
「え? 樹老人? この御方が? 」
カザンザキスさんが凄く驚いた。
「え? ご存知なんですか? 」
俺がカザンザキスさんに聞いた。
「ご存知も何も、これから<結末の時>にかけて、我々の側の最重要な御方だ。君の教育もなさるはずだが」
カザンザキスさんが答えた。
本当に教育係なんだ。
「いや、とりあえず、魔王さんが私の代わりをする事に決まったので……」
俺が下を俯いて小声で呟いた。
「それは、もう、却下だ! 例の獣人族の女が連れてきた魔王とやらが、凄くしょぼいおっさんで、龍女殿がブチ切れた! 」
樹老人が俺の胸倉掴んでゆさゆさしてる。
「え? 魔王って、しょぼいおっさんだったの? 」
ミツキが言った。
「しょぼいもしょぼいも最悪じゃ。無精ひげとか髪がボサボサなだけでなく、服も浮浪者みたいで……しかも、糞弱くて、龍女殿が殺気を見せたら気絶しよった」
樹老人が必死だ。
「それはキツイ」
クニヒト大佐が呟いた。
「え? そんな奴が魔王などと自称したの? 」
俺が唖然とした。
これはキツイ。
自分を客観的に見れない系なのか?
「お前な。龍女殿はな。お前に会って、お前を助けるために、仲間とも離れて、たった一人で何千年も眠りについてたんじゃぞ。その気持ちくらい理解してやってくれんか? 」
樹老人が真剣な面持ちで言った。
むう、そう言われると俺も悪かったのだろうか。
さすがに、少し妬いてた雰囲気のアオイとかも同情したような顔をしてる。
「ユウキ君、私からも頼むよ。伝承通り君を待っていたのなら、龍女様が可哀想すぎる。なんとか、翻意してくれないかな」
カザンザキスさんにまで真面目な顔で言われた。
「兄弟。つまり兄弟に会うために、数千年のぼっちだと言う事だぞ」
アポリトが言った。
むう、確かに、数千年のぼっちと言われては逆らえんな。
「分かった。分かりました。行きますよ」
俺が仕方ないと言う風に答えた。
樹老人がほっとしたような顔をした。
だが、島の方を見て表情が変わる。
「なんじゃ、あの武器は? 」
樹老人が驚いたように言った。
「筒のような武器で龍女殿が攻撃された。あたりが爆発で吹き飛んでしまった」
「は? 」
樹老人の言葉を聞いて変な声が出た。
筒のような?
バズーカ砲?
「その後、機関銃と言うのかの? それで龍女殿が攻撃されて爆龍王ゴウオウが盾になって、攻撃を受けとる」
樹老人が震える様に言った。
「一人か、たった一人で爆龍王ゴウオウと龍女殿を攻撃しとる」
続けて樹老人が信じられないものを見たように言った。
「え? つまり、最初の魔王って囮? 油断させて仕掛けた? 」
俺が驚いたように答えた。
「ちょっと、待って、それって」
ミツキも思い当たるような顔をした。
「魔王って、こっちに無いそうだから、向こうの世界の奴しか言わんだろうし変だと思ってたんだが……」
俺が呟いた。
「し、信じられん。爆龍王ゴウオウが苦戦しとる。機関銃で口を集中的に破壊されとる」
樹老人が本気で驚いている。
「こ、これって、多分……」
ミツキが震えてる。
「ああ、多分、うちの親父だ」
俺が自分でも顔が引きつるのが分かる。
すいません。
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