第八部 第五章 龍女(りゅうじょ)
爆龍王ゴウオウと樹老人と仮面のケモミミ女が呆然と立ちすくむ中、地震が起こる。
「むぅ。このタイミングで龍女が起きるか」
樹老人が苦々しげな顔をした。
「<終末の子>がいなくなったタイミングではじまるとは」
爆龍王ゴウオウが困惑してる。
「どうしょうかの。あいつ本気で<終末の子>を辞めたんやろうな」
「ええええ? そんな事あり得るのですか? 」
「だって、やる気無いもの」
爆龍王ゴウオウの問いに樹老人が真っ青な顔で言った。
「魔王とやらはどうなのだ! 」
爆龍王ゴウオウが怒り気味で、ケモミミ女に言った。
ケモミミ女が焦っている。
「いや、まさか、こんなに簡単に辞めるなんて……」
ケモミミ女が焦りながら言った。
「あいつはやりたくないから、喜んで辞めるに決まってるだろう」
樹老人が頭を抱えた。
「まずいな。龍女殿は<終末の子>に会うために、数千年の時を眠られていたのだ。本人がいないとなれば、どうなる事やら」
爆龍王ゴウオウが途方にくれた。
「大丈夫です。我らが魔王が必ず、救世主をやり遂げてくださいます」
ケモミミ女が言った。
「本当だろうな! それなら、早く、連れて来い! 」
爆龍王ゴウオウがケモミミ女を怒鳴りあげた。
「無理じゃろうな。魔王とやらが根本を間違えてるのかもしれんが、<終末の子>って人間じゃ無いからな」
「へ? 」
ケモミミ女が驚いた顔をした。
「あれ、どちらかと言うとわしらに近いものだし」
樹老人が続けた。
「え? 」
ケモミミ女が唖然とした。
その時、地面が割れて、緑色の球体の物体が出てくる。
その緑色の球体が左右に割れて、そこからレース状の美しい緑色のドレスのようなものを着た、物凄く綺麗な女性が出てきた。
腰まである金髪に碧眼で頭には麒麟のような角がある。
龍女である。
爆龍王ゴウオウが跪く。
「やっと、時が来たようじゃな」
「お久しぶりにございます」
龍女の(りゅうじょ)言葉に爆龍王ゴウオウが跪いたまま答えた。
「うむ、我が出迎え、ごくろうである」
「はっ」
爆龍王ゴウオウが答えた。
「で、じゃな。ほれ、あれだ」
龍女がモジモジしだす。
「なんでございましょうか」
「そこに、樹老人もおるし、おられるんじゃろう? 」
顔を少し赤くしながら龍女が言った。
爆龍王ゴウオウと樹老人が顔を見合わせる。
「どちらにおられるのかな? 」
龍女がモジモジしながら言った。
「えーと」
樹老人が困った顔をした。
「龍女様、お待ちください。実は龍女様にお会わせしたい方がおります」
ケモミミ女が焦ったように言った。
「<終末の子>殿のことであろう? 」
龍女がうれしそうに聞いた。
「いえ、<終末の子>は我が主、魔王様がする事になりまして」
ケモミミ女が言っちゃった。
樹老人と爆龍王ゴウオウが後ずさりしてる。
「馬鹿、龍女殿はこの世界最強クラスなんだが……」
樹老人が震えてる。
龍女の目が光り、ケモミミ女の横をすり抜けて海上に数十キロメートルの大爆発が起こる。
辺り一面に吹き飛んだ海水が雨のように降り、ケモミミ女が恐怖で座り込んだ。
「どういう事かな? 」
凄まじい殺気で樹老人と爆龍王ゴウオウとケモミミ女が震えあがった。