第八部 第三章 爆龍王ゴウオウ再び
俺達はワイバーンに乗って、ぼっちのいる島にやって来た。
彼は、なんか、古い遺跡のような森の中にいた。
さっそく、俺が彼を見つけて声をかけた。
彼とは言わずもがなの爆龍王ゴウオウである。
「やー、ぼっち王」
「ぼっちじゃ無いから! 」
俺が声を掛けたら、即、反応して来た。
何と言うか、ノリがいいなぁ。
「ちょっと……」
「えーと……」
ミヤビ王女とクニヒト大佐が凄い顔をした。
「ちょっと! ちょっと! 爆龍王ゴウオウじゃないの! 」
ミヤビ王女が小声で俺の袖を引っ張る。
「馬鹿じゃないの? 馬鹿じゃないの? 」
クニヒト大佐も絶好調だ。
「大丈夫だ。もう、彼とはぼっちの絆で結ばれた仲間だから」
俺がミヤビ王女とクニヒト大佐に笑った。
アポリトとアオイとムラサキはうんうんと頷いてる。
「だから、ぼっちじゃ無い! 」
爆龍王がじたばたしたように叫んだ。
「なんじゃ、ゴウオウではないか」
樹老人がゴウオウに話しかけた。
「これは樹老人様では無いですか」
爆龍王ゴウオウが驚いてる。
「え? 様? 様なの? 」
俺が爆龍王ゴウオウの言葉を聞いて、樹老人を見てびっくりした。
「お前……樹老人様にも失礼な事してるのか……」
爆龍王ゴウオウが呆れたような顔をした。
「え? 本当に様なの? 」
俺が再度爆龍王ゴウオウに聞いた。
「その御方は神様だぞ」
爆龍王ゴウオウが呆れ果てたように答えた。
「え? 神様? 神様なの? 」
俺が樹老人をじろじろ見て言った。
「まあ、お前等の元いた世界で言うなら神仙と言う事かな」
樹老人が意味ありげに言った。
「うっそ、マジですか! 」
俺が叫んだ。
「本当だ。愚か者が」
爆龍王ゴウオウが怒ってる。
「じゃあ、俺じゃ無くて、救世主は樹老人様がすればいいんでは? 」
「「は? 」」
爆龍王ゴウオウと樹老人が素で変な声を出した。
「なんで、そうなるのじゃ」
樹老人が困った顔をした。
「だって、俺、商人ですし」
俺が笑顔で答えた。
「本当にやる気ないのう。お前」
樹老人がため息ついた。
「小僧。持って生まれた運命と言う奴は他人には譲れんのだぞ」
爆龍王ゴウオウが重々しく言った。
「へー、じゃあ、ぼっち王も運命なんだ」
俺が口を尖らせて答えた。
「ぼっちじゃ無いって言ってるだろうが! 」
爆龍王が怒鳴った。
「えー」
俺が変な目で爆龍王ゴウオウを見た。
「お前、本気で焼き殺すぞ! 」
爆龍王ゴウオウが羽を広げて言った。
「本当にこいつ困ったもんじゃろ。どうしたらいいんじゃろうかな」
樹老人が言った。
「殺してやり直したら良いんじゃないですかね」
爆龍王ゴウオウが殺意を持った目で俺を見た。
「もう、時間が無いわ」
樹老人がため息をついた。
「ところで、ぼっち王何してんの? こんなとこで? 」
俺が疑問を口にした。
「ぼっちじゃ無いから! 」
すぐに突込みが返ってくる。
いいなぁ。
素晴らしい。
「む? 龍女さんか? 」
樹老人がはっとしたように答えた。
「そうです。<終末の子>が目覚めたなら、龍女様も目覚めるはず。それで様子を見に来ました」
爆龍王ゴウオウが答えた。
「龍女様って、<終末の子>の妻になってサポートする方ですよね」
ミツキが聞いた。
え?
そうなの?
なんか、微妙にアオイとムラサキとミヤビ王女の目が怖い。
「良く、知ってるな。そうだ。龍女様が目覚めてこそ、聖樹装兵を運用する蒼穹船が動き出す」
爆龍王ゴウオウが教えてくれた。
「蒼穹船って宇宙船のことですよね」
ミツキが言った。
「向こうの世界ではそういうらしいな。その通りだ。<結末の時>に聖樹装兵とあらゆるモンスターを積んで戦うためのものだ」
初耳だ。
横で樹老人がしぶい顔をしてる。
「それは、こいつに言わないで欲しかったんだがなぁ」
爆龍王ゴウオウとミツキを交互に見て樹老人が言った。
「それは何故です? 」
爆龍王ゴウオウが聞いた。
「わしは武器と武器で戦うのでは、結局、際限なく殺し合いになってしまい、それではこの<結末の時>は酷いものになってしまうと思っておる。回避はできぬとしても、単に殺し合いで終わらしたくない」
樹老人が意味ありげに答えた。
「それは、難しいお話だと思いますよ」
爆龍王ゴウオウが難しい顔をした。
「むう」
樹老人も難しい顔をした。
「大体、<終末の子>がこいつだし」
爆龍王ゴウオウが俺を指差した。
「うわ、凄い説得力だ! 」
横でクニヒト大佐が叫んだ。
皆も頷いてる。
ほっといてくれ。
と、突然、何かが俺をかすめて、目の前の木がへし折れる。
「な、何? 」
俺がその場に伏せると同時に皆も伏せた。
「まーた、このパータンか」
横でクニヒト大佐がグチグチ言った。
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