第八部 第二章 離船
とりあえず、説教も中略し、豪華高速帆船の舳先に立ってみると、ぞくりと嫌な予感がしたのだ。
この感じはコンチュエか?
と思った俺はミツキにワイバーンで先に偵察に行って貰うことにした。
ぼっちの勘は良く当たるのだ。
そのミツキがワイバーンで帰ってきた。
「お兄ちゃんの勘が当たりだわ。エテルノとの戦いの件が知れ渡って、港で救世主待ちがちらほら出てる」
ミツキがワイバーンを降りながら言った。
「マジか! 」
「まあ、コンチュエは経済と軍事では世界でも大国の一角だしね。情報も早いと言うことね」
ミヤビ王女が笑った。
「さて、どうしょう。また、こないだのノリは嫌だなぁ」
「「「「ああ、確かに」」」」
アポリト以外が頷いた。
「え? 兄弟が逃げた件か? 」
アポリトが聞いてきた。
「いや、それ以外にも、いろいろ変に歓迎されすぎちゃって、心が皆折れたの」
俺が答えた。
「なるほどな。大げさにされるとしんどいものなぁ」
アポリトが頷いた。
「とりあえず、ワイバーンで一気にパトリダに戻る? 」
ミツキが提案してきた。
「それが無難かなぁ」
俺が呟いた。
「なんじゃ、歓迎くらいうけてやらんか」
樹老人が笑った。
「いやぁ、救世主様だーなどと自分で言う気になんないし。そもそも器じゃない」
俺が樹老人に笑って答えた。
「変なとこで殊勝なんじゃな」
樹老人が呆れ顔だ。
「いやいや、自分は単なる商人ですし」
俺が笑った。
「いや、それも、凄く困るんじゃがなぁ」
樹老人が悩んでる。
「とりあえず、アオイ。このままワイバーンで出ていくから、お金と御礼だけしたいから船長を呼んで来てくれ」
アオイが船長を呼んでくると言うか、船長もこちらの様子を伺ってたみたいで、すぐに来た。
「やはり、ここからお出になられますか? 」
船長が聞いてきた。
「すいません。いろいろと助けていただいて感謝いたします」
言いながら、お金の入った革袋を渡そうとした。
何しろ、ヤマトとのスーパーの件で遣おうと思って、ある程度持ってきてたのだ。
「いえ、エヘクトルから守っていただきましたし。こちらもお世話になりましたので、それはいいです」
船長が固辞した。
「いえ、これからまたお世話になる事も必ずあると思います。そういう事はお気になさらないでください」
言いながら、無理矢理、大目にお金の革袋を渡した。
船長は困ったような顔をしたが、ちょっと考えて、お金を受け取った。
「では、また何かありましたら、誠心誠意お手伝いさせていただきます。これはありがたくいただいておきます」
船長が笑顔で言って手を差し出して来たので、握り返して握手した。
「その時はよろしくお願いいたします」
俺も笑顔で答えた。
「こういう事はちゃんと出来るんじゃの」
樹老人が嫌味っぽく言った。
「だって、商人だもの」
俺が答えた。
「だから、それじゃあ、困るんじゃがのう」
樹老人が困った顔をした。
「兄弟。ワイバーンで行くとして、とりあえず近隣を用心に索敵しておくか? 」
アポリトがパトリダの方を見た。
「ああ、頼む。兄弟」
俺がアポリトに頼んだ。
「あれ? 」
「どうした? 」
「あのだいぶ先の小島にぼっち仲間がいるぞ? 」
「そうなのか? 」
「ああ」
「ぼっち仲間? 」
ミヤビ王女が聞いてきた。
「ああ、テーラで義兄弟になる様に誘ったんだが、照れて逃げちゃってな」
「へー」
ミヤビ王女が頷いた。
「じゃあ、兄弟、もう一度、義兄弟になるように言いに行くかな」
俺がアポリトに言った。
「うむ。ぼっち同士は堅く結ばれてるものだからな」
アポリトも笑顔で答えた。
すいません。本当に仕事のからみで一部の日が投稿時間が変になるんですいません。
どうか、引き続き読んでくださいますようにお願いいたします。