第六十一部 第四章 怒りのゴウオウ
俺と親父が甲板に出ると、爆龍王ゴウオウと雷龍が涙目で弾幕のように爆炎攻撃を繰り返してた。
「貴様ぁぁぁあ! 貴様ぁらぁぁあああああああ! 」
爆龍王ゴウオウの凄まじい叫び声がする。
何かあったのかと思ったら、樽が二つひっくり返ってて、酒が甲板にこぼれまくってた。
つまり、樽をクアムの二人がひっくり返したわけね。
酒臭い甲板で酔いそうだが、それよりも、見た事も無い鬼気迫る爆龍王ゴウオウの攻撃だ。
本来ならクアムの方が強い筈なのに、あまりの連続攻撃でクアムの二人が押されてる。
これがアル中の力か。
かわりの樽酒が無いのが、さらに怒りを沸騰させてるようだな。
昼にかわりの樽酒が運ばれてくる話は黙っていよう。
「凄いな。あんな連続発射とか出来るんだ」
親父が感心してる。
「まるでガンダムの弾幕並みだな」
国王達もついて来たらしくて感動してる。
剣を持ったクアムがテレポートして爆龍王ゴウオウの目の前に現われた。
「馬鹿め! これで終わりだ馬鹿龍がぁぁあ! 」
剣を振りかざしてクアムが叫んだ。
と同時に俺が轟天を構えて、そのクアムにぶちこんだ。
爆龍王ゴウオウを袈裟切りにしようとしたクアムが弾き飛ばされる。
一応、障壁は張ってたようだ。
「まあ、分かりやすい動きだな」
親父が苦笑した。
「ああするだろうなと思ってたら、本当にしてくるんだもの」
俺が笑った。
まあ、でも弾かれてしまったが。
「まあ、弾くだけ強いって事だな」
親父が笑った。
「貴様っ! ぶち殺してやる! 」
剣を持ったクアムが叫んだ。
そして、俺の方へ剣を振りかぶって飛んでくるが、それはアオイの障壁が防いだ。
「すいません、遅くなって」
少し赤くなってアオイが答えた。
むう、可愛い。
「貴様、自分の立場が分かってるのか! 」
剣を持ったクアムがアオイに絶叫した。
「何がです? 」
「お前、別家ってのは審判役だろうがああああぁぁぁあ! 何で一方的にそいつに味方してんだぁぁぁぁあああ! 」
「「「「「え? 」」」」」
俺達全員がアオイを見た。
「妻ですから」
アオイがにっこり笑った。
「妻ですからじゃねぇぇえええぇぇぇょ! てめえはどちらにも肩入れしてはいけない筈だ! ふざけんじゃねぇぇええ! 」
「別家って審判役だったのか」
俺が唖然としてアオイを見た。
「ええ」
アオイがにっこり笑う。
「そうだ! どちらかの味方をしてはいけない! それが光と闇の狭間にある別家の立場だ! そうやって数々の戦いをお前は制裁の名目で守らないものは抹殺したりして、ルールを守って来た筈だ! その誇りを捨てるのかっ! 」
剣を持ったクアムがアオイを指差して糾弾した。
「妻ですから」
アオイが凄く良い笑顔だ。
「って……いや……は? 」
剣を持ったクアムが呆れてる。
「まあ、妻ならしょうがないね」
「ですよね」
俺とアオイが顔を見合わせてにっこり笑った。




