第六十部 第三章 鈴の初代
「さて、お話は済みましたよね」
そう言って、着物を着た、四十前後の色っぽい艶やかな女性が現われた。
鈴さん達に顔が似ているので間違いない、鈴の初代だ。
国王達があまりの色っぽさに身を乗り出す。
「孫は確かに貴方の嫁としてました。まさか、娘まで手籠めにするとは。<終末の子>は救世主と聞いていたのに、飛んだお笑い草で……」
見た事も無い殺気だ。
母さんにすら匹敵するかもしれない。
身を乗り出してた国王達がのけ反った。
「動くなよ。囲まれてる。マシンドール部隊だ」
親父が鋭く叫んだ。
軽空母の側面から艦橋周りまで、変なアンドロイドみたいなのが囲っている。
「さあ、娘と孫を渡しなさい。そして、制裁を受けていただきます」
鈴の初代が震えるような殺気をさらに発した。
「手籠めなんて、旦那様はしてませんよ」
アオイがテレポートして目の前に立ちはだかる。
ミツキもチアンウェイも来た。
そして、鈴の二代目三代目も来た。
「良かった。無事だったのね」
鈴の初代がほっとしたような表情を浮かべる。
「待って、お母様! 手籠めにしたのは私達なんです! 」
「そうだよ。お婆ちゃん! 」
鈴の二代目と三代目が必死に訴えた。
一瞬、空気が固まった。
「は? 」
「だって、私、まだ子供だったし……」
今も子供の鈴の三代目がもじもじした。
「私もこの子の母親だから襲ってくれなくて……」
鈴の二代目ももじもじしてる。
鈴の初代の顔が見た事も無い様な顔をした。
「は? 」
「「それで、ベットのバトルロイヤル中にしれっと襲ったの」」
二代目と三代目の声がハモる。
「は? 」
鈴の初代は固まったままだ。
「そうだったのか? 」
親父が聞いてきた。
「バトルロイヤル中だと、誰が誰だか分かんないんだよ」
俺がそう言った。
「なるほどな」
経験者なのか、いつのまにかいる和真が深く頷いた。
「はぁぁああぁああぁあああ? あんた、親子丼とかって言葉知ってるの? 」
鈴の初代が激昂して叫んだ。
「「いえ、私達が願ってるのは祖母、母、子の三代丼で」」
鈴の二代目と三代目が凄い笑顔だ。
「馬鹿じゃないの? 私はお婆ちゃんじゃないの」
「いえいえ、旦那様の最長老の奥様は百万歳ですわ。お母さまなら田舎の農家の青年会の若手の筆頭位ですよ」
鈴の二代目が凄い事言った。
田舎の農家の高齢化は凄く、七十歳が青年会をやってたりするのだ。
それに比べたら、確かに若すぎるのだが、それはどうなの?
「なんで、私まで混ぜようとするの」
鈴の初代が困ったように答えた。
「だって……〇〇〇」
さわりを言ったとこで、鈴の初代さんが二代目の口をふさいだ。
「だって……〇〇」
「あぁぁぁああぁぁぁぁああぁあああぁぁああぁああぁぁあああぁぁ! 」
鈴の二代目が口をふさがれてる間に三代目が言い出したので、初代が凄い大声で叫んでかき消した。
「むう、過酷な戦いですな」
俺が呟いた。
「結構、いろいろとあるんだな」
親父が笑った。




