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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第七部 第六章  教育

「良いか。何故、お前の守護神が不動明王か分かるか?」


 樹老人(じゅろうじん)が俺に向かって説教してる。


「すべてを焼き滅ぼすためですか? 」


 俺が答えた。


「違うわ! あの炎は慈悲の火であり知恵の火じゃ! 自分の悪しき心を焼き尽くすための炎じゃぞ! 」


 樹老人(じゅろうじん)が呆れたような顔をした。


「では、すでに私の悪しき心は焼き尽くされて、まっさらな心になっていると言う事なんですね」


 俺が頷きながら答えた。


「お前、何でそういうとこだけポジティブなん? 」


 樹老人(じゅろうじん)が呆れてる。


「ははは、褒められちゃった」


 俺が照れくさそうに笑った。


「褒めてないから! 」


「いいか、お前の世界の仏教で言うだろ。三毒と言うものがある。最も根本的な三つの煩悩、すなわち(とん)(じん)を意味する。むさぼる事、怒り憎む事、愚痴を言う事。これらをお前は克服せねばらん」


「無理です」


「即答だな」


「即答です」


「あちらの世界の方が火力も何も強い。だが、我々の世界にも優れたものがある。それは心を操る事だ」


「え? 向こうの世界でも札束(おかね)でほっぺをピタピタしたら、いくらでも操れますよ」


「いや、それは欲で釣ってるだけじゃん」


「結果は一緒です」


 俺と樹老人(じゅろうじん)が言い合うのを他の皆が見てる。


「平行線で全然進まないね」


 クニヒト大佐が欠伸をした。


「人の道と言う理性で語ってんのと、人のサガという欲望で語ってんのと、交わりようが無いわな」


 アポリトも呆れてる。


「すいません。横から良いですか? 結局、とりあえず、やらせてみたらどうです? 」


 ミツキが提案した。


「しかし、まず心を定めねば、相手の心を操るだけに大変な事になるんだが」


 樹老人(じゅろうじん)が厳しい顔をした。


「でも、多分、話しても無理だと思いますよ。私も戦闘進化型になって貰おうといろいろやったんですけど、結局、逃亡特化型になっちゃって」


 ミツキがほろ苦そうな顔をした。


「人と反対に行っちゃうのかな? 」


  樹老人(じゅろうじん)が困り果てた顔をした。


「反対って言うか独特な方向ですよね」


 ミヤビ王女が首を傾げた。


「自由すぎて、皆、ついてけないんですよ」


 クニヒト大佐が笑った。


 なんか、マジで毒舌が戻ってきてるな。


「なんとか、良いところを伸ばすような感じで出来ませんかね? 」


 アオイが提案した。


「とりあえず、それが一番近道だと思いますよ」


 ミヤビ王女も続いた。


「困ったなぁ。逆にそれだと間違った方に行くと取り返しがつかないんだけど」


 樹老人(じゅろうじん)がため息ついた。


「大丈夫です。ユウキ様なら克服なさると思います」


 ムラサキがほほ笑んだ。


「克服は克服するんだけど、どういう克服か怖いな」


 クニヒト大佐が突っ込んできた。


 心が戻ったら戻ったで五月蠅い奴だな。


「しょうがない。まずはスキルが動くように、お前にきっかけを入れよう」


 樹老人(じゅろうじん)が手をかざす。


「え? きっかけって入れるもんなの? 」


 俺が驚いて聞いた。


「まあ、お前の願いをかなえやすくするためのものだ」


 樹老人(じゅろうじん)の手から金色に光るビー玉くらいの大きさのものが、俺の胸に吸い込まれた。


 その時、俺達のいる特等船室のドアが叩かれた。


 この船の船長が慌てて入ってきた。


「すいません。空飛ぶエイのモンスターであるスカイマンタが手紙を落として行きました。宛名は救世主へとなってます」


 船長がその手紙の筒をさしだした。


「ほら、早く受け取れよ、クニヒト大佐。お呼びだぞ」


 俺がクニヒト大佐に手紙の筒を投げた。


「もう、俺、シ〇アじゃないから知らないよ」


 クニヒト大佐が手紙の筒を投げ返して来た。


「大佐になったんだし、やらないと」


 俺がクニヒト大佐に手紙の筒を押し付けた。


「ふざけんな」


 クニヒト大佐が手紙の筒を再度俺に投げる。


 俺がさらに投げ返す。


 それをミツキが横から受け取った。


「非生産的な事はしないでよ! 」

 

 ミツキが呆れたように言った。


「この嬢ちゃんの方が<終末(おわり)の子>にふさわしくないか? 」


  樹老人(じゅろうじん)が肩を落とした。   

 今日はいろいろと遅れてすいません。


 ブックマークありがとうございます。


 いつも読んでくださる皆様、ありがとうございます。


 

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