第五十九部 第八章 ルグ
結果として、全員が降伏した。
食糧も無いし、昔なじみの雪龍さんが全ての安全を保証すると言ったので、皆が仕方ないと受けたらしい。
そしたら、ルグだけが降伏はしないと言って揉めてるらしい。
仕方ないので、アオイ達とルグの所にテレポートした。
流石に敵の大将が自ら来るとは思わず、向こうも驚いてたが、すでに降伏した側なので俺達に土下座しようとしたのを止めた。
別にそう言うつもりは無いと言ったので向こうは感動してたが、ぶっちゃけ、許嫁に土下座をやりまくってるので、嫌な奴でも無い奴にやって貰っても自分を見てるみたいで嬉しくないし。
「久しぶりだな」
ルグが俺に笑った。
敗北を理解してるのか、憎々しげな顔はしてない。
「ああ、何で降伏しないの? 」
「ははは、役者が違ったと言う事か。仕方あるまい。だが、わしはここで降伏したら、最後まで一緒に前の時に戦った愛弟子のロウに合わせる顔が無いからな」
さばさばした笑顔で笑った。
「ロウってあのロウさん? 」
「ああ、お前が殺してたのか? 」
ルグが少し憎しみが戻ったような顔をした。
「今、テーラで大金持ちだけど」
俺が言ったらルグが凄い顔した。
「なんか、ファウロスさんと一緒にテーラの貴族になるみたいですよ」
アオイが教えてくれたってーか、聞きたいくないから、その後は聞いて無かったのだが。
「えええええええええええええ? マジか? 」
俺の顔が歪む。
「あいつは、どんどん光の世界に行ってしまうな。兄弟」
アポリトも悲しそうだ。
「なんか、寂しいもんがあるな」
カルロス一世も辛そうだ。
「いや、おめでたい話なんですけど」
カザンザキスさんが突っ込んできた。
「そ、その表情からすると本当なのか? あのファウロスも生きてたのか? 」
ルグが驚いてる。
「昔の異教の連中は皆、向こうに呼んでるはずですよ」
アオイが笑った。
「そ、そうだったのか。誰も探したけど居なかったもので皆死んだのかと」
ルグが震えて泣いている。
「行っといでよ。カザンザキスさんにテーラ王家に紹介状を書いて貰うし」
言いながら、金貨が二百枚くらい入った袋を渡した。
「し、しかし……」
ルグが困ったような顔をした。
「いや、あんたは死んだことにしとくよ。とにかく、一度死んで生まれ変わったんだから、次は仲間と楽しい生活したら? 」
「だ、だが」
「いや、ファウロスもロウも無茶苦茶良い奴になってるから、笑顔で皆、迎えてくれるよ」
俺が凄い歪んだ顔で言った。
「なぜ、歪んだ顔を? 」
ルグが不思議そうに聞いてきた。
「いや、俺達、ああいう眩しい人達は苦手なの」
俺が言うと俺の仲間が全員頷いた。
何故か、戦った相手側もああと言う感じで納得してたのがちょっと嫌だけど。
とりあえず、怨敵のはずのルグまで、こういう対応だったので、反乱軍は全部正義の味方ファンド用の部下になりました。
まあ、安心したんだろうけど。




