第五十七部 第四章 交渉
「さて、許嫁様方にお話がございます」
孔明がきりりとして言った。
「何よ」
ムラサキが殺気立った顔をした。
「エレネ様やアナスタシア様やソフィア様や鈴様なら、お分かりになられるはず。我が君のヒモ・モードを受けて耐えるのは非常に苦しい事だと言う事が……」
孔明が羽根で出来た扇子で口元を隠して許嫁達をじっと見た。
「それは確かにそうですね」
ソフィアが答える。
「間違いないですね」
鈴の二代目さんも頷いた。
それで、許嫁達の殺気が少し治まった。
「では、今、ここに向ってるアマゾネスさんがどんな気持ちなのかお分かりのはず……」
孔明が続ける。
ちょっと、待って。
え?
俺の嫁さんをいきなり三桁にするつもりか?
「お、お前……。何を考えてんの? 俺が死ぬじゃんか! 」
俺が震えながら孔明を見た。
しかし、こいつはにやりと笑いやがった。
やばい、碌な予感がしない。
「つまり、握手会と同じですよ。ローテーションで愛人枠といたしましょう」
「解決策になって無いだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ! 」
俺が叫んでるのに、ミツキくらいしか同調してこない。
何でなの?
「確かに凄くキツイと思いますよ」
「私達はそれなりに修練してますが、なまなかでは抑えれないと思います」
フィーネ姉妹が答えた。
「でろんでろんになるもんね。それで放置はなぁ」
アナスタシアまで頷いた。
「女帝さんの辛さを聞いてしまったし」
あのあのレイナさんまでがぁぁぁああぁぁぁあ!
違う違う、感情の問題じゃ無くて、物理とか生物の問題ですがな!
一個体のオスがどれだけ相手に出来るかといぅぅぅぅぅ!
人間に数百人の嫁のローテーションなんか無理だぁぁぁあああ!
「では、最初は仕方ないとして、その後は週ごとのローテーションと言う事でいかがでしょうか」
アオイがまとめにかかる。
いやいや、最初が仕方ないって何よ。
まさか、千人はいるだろうに、それを俺に相手しろと!
「我が君、ご安心を。得てして混乱してる時は数を間違えるもの。また。一部受けてないものもおりますれば、実際にヒモ・モードを受けたのは、たったの三百人程度でございます」
俺の心を読んだ様に孔明が笑って答えた。
「たったじゃないじゃん! 一番多いクニヒト大佐でも、百人なんだぞ」
「大丈夫でございます」
「断定するなや」
「ちょっと、ちょっと、皆、良いの? 」
ミツキが食い下がるように聞いた。
「でも、経験値上がると、あっちのレベルが上がるんじゃなかった? 」
キョウカさんが異様な事を言った。
何、その隠しコマンドみたいな設定!
「いや、そんなのあったっけ? 」
俺が許嫁達に聞いた。
「だって、そりゃ、広まったら困るもの」
ユイナがもじもじして答えた。
「しょうがないかな」
ミツキがクルリと手のひら返した。
なんでなんだよぉぉおおおおおお!
なんでなんだぁぁああああ!




