第五十七部 第二章 ガレー船
爆龍王ゴウオウが甲板で呼んでいるとクルーに呼ばれた。
ああ、あれかと思いつつ、仕方ないので甲板に出た。
「ほらほら、約束のお礼は? 」
爆龍王ゴウオウが酒樽のジェスチュア―した。
やはり、飲んだくれのおっさんやんけ。
しょうがないので、クルーに頼んで酒樽出して貰った。
大喜びで爆龍王ゴウオウが飲みだす。
アル中になるんじゃあるまいか。
ふと、そう思ったが、面白いのでそのまま止めないで見てようと思った。
「親分、てーへんだ」
鳳凰の子供さん兄弟が慌てて、甲板に降りた。
「親分はやめてくれないか? 」
すっかり懐いたのは良いんだがいつの間にか、俺の名前が親分になってる。
「でも、親分は親分だし。なぁ? 」
一番年上の鳳凰の子供が他の兄弟に聞いた。
「「うん」」
残りの鳳凰の子供が頷いた。
社長と呼んで貰おうと思ったが、変だしな。
なんか、今度良い名前でも考えよう。
「どうした? 」
「向こうから、ガレー船の船団が来る」
一番上の鳳凰の子供が言った。
それに合わせて、他の鳳凰の子供が頷いた。
「旦那様を呼んでいる声がする」
横にゆらりとアオイが現われた。
「本当だ。一杯声がする。たくさんいるよ? 」
ミツキも横で囁くように言った。
それと同時に、甲板にある向こう側のドアに鳳凰の子供達が恐怖で頭から突っ込んで逃げた。
ヤバイな。
次々と獅子達が戦闘態勢で出てくる。
ガチで蚩尤より怖い。
正直、俺が恐怖に鈍感なんじゃ無くて、慣れ過ぎただけなんだよな。
おっと、喋ってないよなと思いながら、辺りを見回した。
大丈夫のようだ。
と言うか、海の向こうを獅子達が睨み付けている。
こええ。
「この気配。お姉さんだ」
元アマゾネスのマリナが言った。
ああ、そんな事もありましたね。
ヒモ・モード食らってたわ。
ドラゴネットみたいに握手会じゃ無理だよな。
美少女ばかりだし。
脂汗が止まりません。
とにかく、親父達、こちらの様子を察して艦橋の窓から覗くのやめてくれ。
何で、そんなにやばい事に敏感なんだよ!
と思って他の窓見たら、ダグダ師匠と亜龍人さん達も震えながら怖いもの見たさで覗いてる。
駄目だ。
「……旦那様はどうする気で? 」
アオイが本当に気配も感じさせず目の前に来た。
もう、これだけで恐怖はお腹いっぱいです。
「どうすると言いますと? 」
「今後の事です。十人だのでしたら、まあ受け入れましょう。でも、この気配は数百人います。流石にこれは……」
「順番が回って来なくなっちゃうよね」
レイナさんが優しく笑った。
その優しさが凄く怖い。
ホラーだ。
その答え次第では、俺の命が無い。
どうしたら良いんだ。




