第五十六部 第五章 ちゅ〜る かよ
「ところで、お味方なんでずっと放置してるんですが……」
「上に居ますよ」
フィーネ姉妹が貴賓室から移動しようかと思ったら聞いてきた。
「ああ、ケモミミの猫娘だろ? シェラだっけ? 」
俺が苦笑した。
「さっきから、ずっといたよな」
親父も笑った。
「ふふふふふふふふ、流石でござますね」
屋根の一部が開いてすたっと降りてきた。
連絡に来た衛士が身構えた。
「ああ、うちの仲間だから」
俺が衛士に安心するように言った。
「何してんだ? 」
親父が首を傾げた。
「ふふふふふふ、聞きましたよ。聞きましたよ。何かお金儲けのお話をしておられた様子」
シェラがにやりとして笑った。
「まだ、先の話だがな」
俺が頭を掻いた。
「で、出来ましたら、それが完了したら、産地直送のちゅ〜るの工場を是非ケモミミ族の我らが本島へ」
シェラが土下座してお願いして来た。
「はあああ? 」
「出来たてが食べたいですぅぅぅぅぅ」
シェラの目がハートだ。
やべぇ、シャブ患者かよ。
「いやいや、お前等作ってる途中に食っちゃわないか? 」
「はっ! 」
シェラが凄い顔してる。
「極力送らせるから待ってろよ。そもそも後数日で届くぞ」
「ほんげぇぇぇぇ、ちゅ〜るが来ますか! 」
シェラがだらしない顔をした。
「全然駄目だな」
親父が笑った。
「ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る ちゅ〜る 」
変なふりをつけてシェラが踊ってる。
「なんか、凄いな」
国王も感心してる。
「しゃーないな、ちょっとだけ、実は在庫があるからやるよ」
って俺が言った途端、衛士が開けたドアが動いて陰からゴルゴが出てくる。
壁に背をやって、壁を背にまたたびに似た成分入りの煙草を吸った。
「あれ? 蚩尤の観察してるんじゃなかったのか? 」
「地下の迷宮に忍び込んで、ある程度の神殿までの地図を作って持ってきた」
ゴルゴがフーと煙を吹いた。
「おおお、スゲェな」
「本当に凄腕なんだな」
親父も感心してる。
「やはり、ゴルゴだと言う事か」
祝融さんが目をキラキラさせている。
「ありがとう。報酬はここに……」
俺が懐から金貨五十枚入った、袋を投げた。
それを受け取るが、そのまま何か待っている。
「ああ、ちゅ〜るは数日後に届くから……」
だが、それでも待っている。
何が言いたいんだ?
「……ご褒美は? 」
ゴルゴのしっぽがピーンと立った。
「お前の持ってるちゅ〜るの話じゃないか? 」
親父が囁いた。
「ああ、これか」
胸からちゅ〜るの四本入りの袋を出す。
「フーーーーーー! 」
シェラが見た事も無い威嚇をゴルゴに始めた。
全身の毛が逆立っている。
「ふっ、ご褒美だから、私のものだ」
ゴルゴが笑った。
「先に貰う話があったのは私だぁぁぁぁ! 」
シェラが威嚇した。
ゴルゴも毛を逆立てて威嚇を始めた。
「ど、どうしょうか? 」
俺が困って親父とかに聞いた。
「あの……皆さん待っておられるので」
衛士が焦ってるので、仕方ないので、袋を破いて、四本適当に投げた。
凄まじい取り合いと戦いが始まったが、仕方あるまい。
下手にあげるなんて言うんじゃなかった。
後悔先に立たず!
ブックマークありがとうございます。m(__)m
感想と評価をありがとうございます。m(__)m
笑っていただけてる感想をいただけて、本当に嬉しいです。*\(^o^)/*




