第五十六部 第四章 懇請
「頼むから、頼むから、少しソフトな変態路線で行ってほしいんだが」
カルロス一世が真剣な顔で俺に頼む。
「いやいや、問題はそこですか? 」
カザンザキスさんが慌てて答えた。
「いや、だって、元々<終末の子>で絶対者なのに、その上で現実的にやられたら世界は変態にしかならないでしょ」
カルロス一世が困惑しまくった顔で答えた。
「え? 絶対者なの? 」
ニコライさんが横で驚いてる。
「ええ、絶対者です」
アオイが笑顔で答えた。
みるみるリア充のはずのニコライさんの顔が歪んでいく。
「あ、あのノリを俺にもやれと……」
絞り出すようにニコライさんが答えた。
ニコライさんが震えてる。
「そんなに、嫌なの? 」
俺が聞いた。
「いや、ちょっと、私には向いてないなぁ」
震えながら絞り出すようにニコライさんが答えた。
まあ、最初はそうだよね。
でも、すぐに慣れるよ。
ここはそんな人間ばかりだし。
結局、皆、そうなるんだから。
俺がニコリと笑った。
ニコライさんが顔面蒼白になっている。
「お前、ホラーかよ」
カルロス一世が凄い顔してる。
「喋ってる、喋ってる」
クニヒト大佐が笑いながら答えた。
あ、喋ってましたか。
「ちよっと、私の家の専属の兵士さんなんだから、苛めないでよ」
アナスタシアがちょっと困ったように俺に話す。
「いや、別に一般論を話しただけなんだけど」
「余計怖いわ」
樹老人さんが突っ込んだ。
「まあ、そう言う世界だよな」
諦めたようにカルロス一世が呟いた。
「いやいや、認めちゃうんですか? 」
カザンザキスさんが困ったように答えた。
「いずれ、貴方もこうなるんですよ」
カルロス一世が哀しい目をしてカザンザキスさんを見た。
カザンザキスさんが凄い顔してる。
「何か、ホラーみたいだからやめて欲しいんだけど」
俺がカルロス一世とかにお願いした。
「「「「いや、お前だろ? 」」」」
何と言う不本意な話だ。
そもそも俺に罪は無い。
全部、社会が悪いんや。
「喋ってる。喋ってる」
親父が横で突っ込んできた。
「まあ、社会が悪いよね」
国王が深く頷いた。
「そうそう、全部社会だよ」
祝融さんも頷いた。
社会って便利だ。
本当にそう思う。
「あ、あの、そろそろ会議なんですが……」
入口で困ったように衛士さんが立っている。
時間がたつのが早いなぁ。




