第五十六部 第二章 演説
ヘリが三機、次々とコンチュエの王宮の広場に降りる。
先回りしてたのか、グォクイ将軍とリィシン将軍が正装して待っている。
うわぁ、気が重い。
「御苦労」
ヘリから女帝が降りる。
すげぇな、王者の風格だ。
「留守をすまなかった」
チアンウェイも答えた。
臣下が並んでいる奥の方で、女帝に一礼しながら俺を鬼のような目で見る重臣が数名いた。
まあ、しょうがないな。
ヤマトによる乗っ取りと思われても仕方ない状態だ。
「とうとう、こうなってしまいましたか……」
グォクイ将軍が困ったような顔をした。
まあ、しょうがない、負担をかけない為に先に言うか。
「女帝とはこういう関係になったが、正式なコンチュエの皇帝には、女帝かチアンウェイさんのどちらかから産まれた男の子供にお願いしようかと思っている! 」
俺が少し声をはりあげて言った。
「「は? 」」
いきなり俺に言われたんで、女帝とチアンウェイが驚いてる。
「「え? 」」
グォクイ将軍とリィシン将軍が驚いてる。
「これほど歴史があり、大国でもあるコンチュエを俺のような異国の人間が継ぐわけにはいかないだろう! 」
「そ、それは……」
女帝が困ったような顔をした。
「だが、私としては、ヤマトとコンチュエの共同の政治体制を作り、そこの取りまとめとしての地位につきたいと思ってる! 私の願いは共栄である! だからこそ、皆にも経済的に双方が裕福になる提案がある! それを聞いてから、私の考えに賛同するか考えて欲しい! 」
「そ、それは、ここでは何だから、王宮の謁見の間で話をしましょう」
女帝が続いて答えた。
皆の空気が変わった。
今までの殺気立った部分は懐疑的だが、殺気を収めてる。
まあ、よそもんがいきなり皇帝なんざ無理だし、とりあえず子供が継ぐのならコンチュエとしては有りだと思う。
そのまま、衛士達に守られて、王宮に入った。
さっきまでの雰囲気なら、国王達も居ずらかったろうが、雰囲気は変わった。
とりあえず、これでいいや。
あんまり口出さなきゃ、向こうも黙るだろうし、一応、原油採掘の土産もあるしな。
とりあえず、採掘と精製のシステムはこっちが握ってるから、その辺は問題無かろう。
「たいしたもんだな」
親父が横で囁いた。
「お前、余裕で皇帝になれるじゃん」
国王達も驚いてる。
「まあ、何より、楽をしたいですから」
面倒くさい仕事はしたくない。
その一心でございますよ。
「まあ、その通りだな。わしなんか全部嫁に任せてるし」
国王が頷いた。
「そのとおり、うまく何もなく平穏に治める。これが一番大事なんですよ」
宰相も笑った。
ぶっちゃけ、国の仕事なんかしたくありません。
徹頭徹尾、これだったりする。
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