第五十四部 第七章 ダグダ師匠来る
そんなこんなで結局意味の無い話も終わった。
蚩尤とか言うメジャーな神とやりあうと言うのに、一体、どうしたら良いのか。
そんな時、凄いスピードでドラゴン型の聖樹装兵の軍団が甲板に降り立った。
全部で百体近い。
「こ、これは? 」
俺が驚いていると全員が着装を解いた。
彼らは亜龍族の兵士達だった。
その真ん中には痩せ細った亜龍族の男がいた。
……ってダグダ師匠やんけ。
痩せたなぁ。
良い感じだぁ。
俺がそんな思いでカルロス一世達を見回すと、全員の目が喜びに満ちている。
いいよな、この一体感。
素晴らしい。
「どうですか。新婚生活は……」
見りゃ分かるのに、リア充ニコライが聞いた。
「こ、こんなに恐ろしいものだと思わなかった」
ダグダ師匠が疲れ果てたように答えると、亜龍族の精兵たちが一斉に涙してる。
すげぇ、壮観だ。
「やはり、こうでなくちゃ」
物凄い小声でクニヒト大佐が囁いた。
皆が頷いてる。
素晴らしい。
「とりあえず、ヨシアキ大佐が蚩尤と戦うかもって言うから、チャンスだから逃げて来た」
ダグダ師匠がまさかのカルロス発言だ。
すげぇな。
やはり、師弟は似るものだ。
俺も良く分かる。
「卵が卵が卵が卵がぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
ダグダ師匠が卵の話をし出した途端、痙攣して叫びだした。
「隊長落ち着いて」
横にいた、片目の亜龍人が必死に宥めてる。
「だ、大丈夫なのか? 」
ニコライさんが心配そうに聞いた。
「ああ、結婚してこの時期の男の亜龍族には良くあることです。我々の世界ではエッグブルーと言いますが」
片目の亜龍人が苦笑いして説明した。
「貴方は? 」
「はっ、ブルと申します。<終末の子>様」
片目の亜龍人ブルが説明した。
「相当やる雰囲気だね。片目は戦争で無くしたの? 」
「いや、嫁に抉られました」
ブルが笑って答えた。
周りの亜龍人がすすり泣いている。
すげぇ。
どんな世界だよ。
と言いつつ、あまり変わらんが。
周りを見るとニコライさん以外、ほっこりしてる。
素晴らしい。
「君達は我々と同じ状況の同志だ」
俺が皆を見回して答えた。
そしたら、亜龍族の兵達が皆嬉しそうに頷いた。
「え? 」
横にいつの間にかミツキがいる。
おや、いたのですか?
「どう言う事かなぁ? 」
レイナさんがいたずらっぽく笑った。
でも、周りには絶対零度の冷気が漂っている。
亜龍族が皆、震えてる。
「いやいや、一緒に蚩尤と戦う仲間だし」
俺が笑顔で答えた。
よどみなく笑顔も歪みなし。
ふふふ、すっかり誤魔化すのも慣れたな。
「「「「「「「「「「「「「「「「へー」」」」」」」」」」」」」」」」」」
いつの間にか許嫁達が周りにいる。
どうしたんだ?
カルロス一世達が口をパクパクさせて、俺に何かを伝えようとしてる。
なるほど、喋ってましたかぁ。
「なるほど、なるほど」
頷きながら、俺がずりずりと許嫁達に引き摺られていく。
流石にこの殺気立った雰囲気では誰もドナドナを口笛で吹かない。
しかし、俺の命は無駄では無い。
仲間達が皆、涙している。
今、俺達は一体になった。
素晴らしい。
さあ、土下座を頑張るぞ。
復活の日と消し去るものって一万字くらいの短編を二つ書きました。
活動報告にも書いてますが、ハートウォーミングギャグの<復活の日>を是非読んでくださいませ。
心がほっと暖まるギャグを目指してみました。




