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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第五十四部 第五章 ムリエル

 目の前に男が立っている。


 眩暈が止まらない。


 何で、これに化けた?


 もう理解不能だ。


「ほら、早く挨拶しなさい」


 ムラサキがムリエルとやらに必死で言う。


 孔明はちょっと嬉しそうだ。


 まさか、マッチポンプじゃあるまいか?


「声をかけてやったらどうだ? 」


 親父が俺に良い笑顔で答える。


 いや、これは無いわ。


「声をかけたくない」


 俺が言うと、ムリエルとやらはびくりとした。


「気持ちは分かるが、せっかく子供の姿で現われてくれたのに」


 あの国王が気持ちは分かるとか言う時点で地雷やんけ。


 しかも、間違いなく核地雷級だ。


「大体、何で薪しょってんだよ! 」


 俺が震えて叫んだ。


「いや、あれは(シバ)ですよ。薪よりも細い雑木の事ですが」


 孔明が俺に注意をするように言った。


「薪でも(シバ)でも良いわ! 何をしてんだよ!」


「「いや、勉強してます」」


 ムラサキと孔明が抗弁した。


「勉強してますじゃねーよ! お前、二宮金次郎はねーだろうが! 」


 目の前に(シバ)しょって本読んでる子供の二宮金次郎がいた。


 眩暈が止まらない。


 本気で止まらない。


 どえらいのが来やがった。


「あ、いえ、植物を大事にしてくださる方をチョイスしたら、この農政家だった二宮金次郎が……」


 ムリエル……二宮金次郎がそう言った。


「いや、植物を大事にするけど食べるだろ! 」


「そうなんです。蚩尤(しゆう)と戦うはずの植物達が皆反感持っちゃって……」


「誰が食べられるの分かってて言う事聞くのよ! 」


「そうなんですよね。気が付かなった」


 二宮金次郎は頭を掻いた。


 本当に地雷が来た。


 何でそうなるんだ。


「つまり、あれか、蚩尤(しゆう)と戦わせようとして野菜達に生命を与えたら、そいつらが食べてる人間に反乱を起こしたと言う事か? 」


 親父が呆れたように聞いた。


「そうなんです。憎しみって怖いですね」


「いや、俺はお前が怖いよ。とりあえず、別の奴に変われよ! 」


「それが一度決めて人間型になると一年は変えれなくて……」


「はああああぁぁ! 植物を操れるのに、それが反感持って敵に回る姿って事は、全く役に立たないって事だぞ? 」


「いや、(シバ)が燃やせますから」


 二宮金次郎は背中の(シバ)を見て笑顔で答えた。


 思わず、その場で蹲った。


 アホや。


 アホがまた増えた。


「何で? 何でなの? 十二使徒ってムラサキとガムビエル以外は、まさかネタ要員なの? 」


「何をおっしゃいますやら、我が君。せいぜい半分ですよ」


「半分もいるのかよ! 」


「いやいや、三分の一くらいです」


 ムラサキが必死だ。


 三分の一でも多いぞ。


 何だこりゃ。


 ガムビエルを見た時は凄いのが揃ってると思ったのに、ムラサキはともかく、孔明と二宮金次郎って何だよ。


 想像を超えてるわ


「ねえ、樹老人(じゅろうじん)さん。ひょっとして、<終末(おわり)の子>ってギャグ要員なの? 」


 俺が樹老人(じゅろうじん)に聞いた。


「すまん。わしも自信なくなってきた」


 消え入るような声で樹老人(じゅろうじん)に言われた。


 せつない。



ブックマークなどありがとうございます(^ω^)

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