第五十三部 第六章 蚩尤(しゆう)
「祝融さん、やっちゃって! やっちゃって! 十二使徒の筆頭のマルキダエルのくせに、産まれたばかりの赤ちゃんの鳳凰の子に負けるんだから! 」
ムラサキが出て来たが、逆に煽ってる。
「やっちまぇぇええ! 」
鳳雛が叫んだ。
「お前がそう言う言葉を使うのは感心しないな」
俺が鳳雛に注意した。
「とうちゃん、ごめん」
鳳雛が頭を下げた。
ええ子や。
「ほう、鳳凰まで配下にしたんだ」
祝融さんが笑った。
「いや、俺、とうちゃんの息子」
「ええええ? 」
鳳雛が言うと祝融さんの顔が凄く歪む。
「いやいや、いくら何でも鳳凰とはしませんよ」
「そ、そうだよな……。そりゃそうだ」
祝融さんがホッとしたみたいで何よりだ。
やべぇな、そういうイメージなんだなと悲しくなった、
「とりあえず、こいつは良いけど、蚩尤は戦争の神様だからな」
祝融さんがポイと孔明を放り投げると俺に向き直った。
「ああ、相当やばい相手だな」
親父も頷いた。
「……って待って、もう俺が相手することになってるの? 」
「だって、<終末の子>だし」
「いやいや、一緒に戦っても良いじゃん」
「俺はもうお前にタッチ交代だ」
「いやいや、作者の友人の友人みたいに、一部上場の大手企業に勤めてた父親が、友人の友人がドラフト一位でプロ野球球団に指名された途端、突然高校のグランドに来て、後は頼むぞタッチ交代だとか言って会社辞めちゃう話じゃないんだから」
「おお、リアルな話だな」
「友人の友人の父親が勤めてた大手企業でも語り草なってたみたいだよ」
「だよなぁ」
「一緒にやってくれよ」
「獅子は我が子を千尋の谷に落とすのだぞ」
ゴオッと燃えたように親父が答えた。
「いや、俺が登って来なかったらどうすんだよ」
「一緒に谷に降りてグダグダ暮らすな」
「むう、なるほど」
「それはそれで良い話だな」
祝融さんも頷いてる。
「とりあえず、川はありそうだし、食うには困らんだろう」
親父も笑顔だ。
「ちょっと、何の話なのよ! 」
ミツキが怒った。
「お爺ちゃん、情けないよ」
麗も怒ってる。
「父さんは、母さんと結婚して随分背伸びしたから、もう良いかなって」
親父が歯をキラリと良い笑顔だ。
「わしも、何千年も女媧様に仕えたし、そろそろ良いかなって」
「俺も許嫁が三十二人もいるし、そろそろ良いかなって」
「何で、そんなに似てんの? 」
ミツキが凄い顔してる。
「ポイントはきっと母さんだよ」
俺が言うと親父と祝融さんが頷いた。
うむ、素晴らしい親子三代だ。
血はつながって無いけど。
そしたら、カルロス一世とヨシアキ大佐とクニヒト大佐が食堂に入って来て、俺と親父と祝融さん見て頭を抱えてる。
「嘘だろ? 揃っちゃったか……」
カルロス一世の声が震えてる。
失礼な。




