第五十三部 第二章 無意味
全てが終わると夜だった。
むう、三十二人。
笑えん数だな。
それをこなしてしまうのが、また、恐ろしい。
横の横の横に女帝がさっきまでの暴走が、どこへやらで寝ている。
結局、俺のヒモ・モードって覚せい剤みたいなのか?
困ったもんだな。
なんか、ドラゴネットの握手会もまたやるみたいだしきりが無い。
ついでに、いつのまにか、ムラサキも参加している。
孔明は戻ったのかな。
とりあえず、皆に毛布を掛けて、部屋を出た。
食堂に行くと中が五月蠅い。
「無能! 無能! 無能! 」
鳳雛が食堂のテーブルの上で、孔明に向って叫んでる。
「馬鹿! 馬鹿! ばぁぁぁぁあかっ! 」
孔明が叫び返している。
凄く切ない。
何と言う謀臣。
これで孔明を名乗って恥ずかしくないか?
「おお、お帰り」
親父が紅茶を飲みながら笑った。
「すげぇな。とうとう三十二人かよ」
和真が驚いてると言うか感動してないか?
「時間短いよな」
カルロス一世が呟いた。
「ヒモ・モードのせいで早く終わるから」
「そうか、それ良いなぁ」
カルロス一世が羨ましそうな顔をした。
なんでやねん。
ふと壁際を見ると、ゴルゴがいた。
「ああ、ありがとうな。これ報酬」
言いながら、懐から用意してた金貨五十枚の袋を目の前にまで行って置いた。
「分かった」
言って、ゴルゴが懐に金貨の袋を仕舞い込んだ。
「後、ちゅ〜るは来週になるな」
言った途端、ゴルゴのしっぽがピーンと立った。
ちゅ〜るの方が嬉しいのかよ。
困ったもんだ。
「で、これからどうするの? 」
樹老人が聞いてきた。
「パトリダに戻ろうか」
「「「おおおおおぃ! 」」」
一部から突込みが出た。
「まあ、逃げてただけだからな」
「でも、七支族のうちの二支族が味方になったのは大きい」
樹老人は嬉しそうだが、これ以上金がかかるの困る。
「とりあえず、事業もやらんと。税収で戦ってるわけでも無いし、何で自腹で<終末の子>業務せんといかんのん。無茶苦茶だ」
本当に正義の味方はえらい。
ただでやってんだもんな。
何の意味があるんだろう。
お金はどっから出てんだ。
「まあ、そうだな」
親父が笑った。
「正義味方ってどこから金を稼ぐんですかね」
ルイス中尉が驚いたように悩んでる。
「まあ、資金的には馬鹿にならんよな」
国王も頷いた。
「ああ、また喋ってた? 」
俺が聞くと皆が頷いた。
「思い切って正義の味方ファンドでも作ってみるか? 」
親父がずずいと身を乗り出した。
なんぞ、それ。




