第五十三部 第一章 プロローグ
その日、爆龍王ゴウオウが降臨した。
どえらいものを連れて……。
クルーが大騒ぎするんで、慌てて甲板に出たら、女帝に抱きつかれた。
「旦那しゃまああああ! 」
もう、たまりにたまりまくってたのか、服を脱ごうとするんで、許嫁達が必死に止めてる。
「おお、途中で故障してる船のそばを通ったら、この女性が<終末の子>さまぁぁぁとか泣いてるんで連れてきた」
爆龍王ゴウオウはご機嫌でした。
なんでやねん。
あんた、残忍な暴龍じゃ無かったのかよ。
まあ、すっかり丸くなっちゃって、何でこういうことすんだよ!
「もう、諦めたら? 」
「しょうがないねぇ」
ミツキに言われてしょげる。
あの女帝が甲板で服を脱ぎ始めるんだから、そりゃ、このままじゃやばかったかも。
人魚姫さんが横でうんうんと女帝見て涙ぐんでるのが切ない。
「どうしょうか? 」
チアンウェイを見た。
「もう、仕方ないし、こんなとこで脱ぎだすと思わなかった。お前のヒモ・モードって本当にヤバイな」
「そう言われてもな」
「とりあえず、現状でヒモ・モードは接触以外は効かないように、御自身で封じ込めてるようだから、接触だけは気をつけないといけませんよ」
アオイが言いながら目が笑ってない。
怖い。
「ほらほら、お礼は? 」
爆龍王ゴウオウが酒樽のジェスチュア―した。
もう、飲んだくれのおっさんやんけ。
どうにもなんないな。
仕方ないから、クルーに頼んで酒樽を持ってこさせた。
とりあえず、酔っぱらえば静かだし、仕方ない。
金のかかる奴ばかり集合して……。
「旦那しゃまぁぁぁぁ」
女帝が暴れて仕方ない。
どこ行ったの、あのぴしっとした女帝の姿は。
「とりあえず、部屋でしましょうね」
ミヤビ王女が必死になって言うと、女帝がズルズル凄い力で俺の部屋に連れて行こうとする。
ちょっと待てや。
真昼間なんだけど。
抵抗しようとしたら、許嫁達にも引き摺られていく。
「き、君達止めないの? 」
「しょうがないよね」
「うん、しょうがない」
キョウカさんや紅葉が笑った。
おおい。
横にいた、カルロス一世達が敬礼した。
なんでやねん。
親父がいつものドナドナを口笛で吹くと、軽空母のクルーも一緒に吹きやんの。
何よ、このオーケストラ。
やめて欲しいんだけど。
結局、ずるずると引き摺られていく、俺だった。




