第五十二部 第十一章 エピローグ
試合は大盛り上がりでした。
急遽の試合なのに満員御礼。
なかなか厳鉄さんは旨くて、剣でも綺麗にかすらせて薄く切るし、こちらも同じ事ができるんで、見てる人はスリル満点だったと思う。
後、ブックと言うのは親父の方で極一部だけでしか知らないようにしたので、プロレスを知らないだろうから、会場が凄い緊迫感だった。
キックとかもこちらの棒蹴りで無く、キックボクシングの蹴りでやったり、華麗なバックドロップなどを疑われない程度でやって、スーパーヘビー級対ヘビー級の試合としては魅力満点だったと思う。
ケモミミ族の売り子もはまって、生活が掛かってるのでラウンドガールもやってくれて、本当に盛り上がった。
ヤマトほどでは無いけど、金も産出するみたいで、裕福な人が多くて、入場料とかで凄く儲かった。
結果として、来年もまたやる事になった。
何だ、これ?
俺も失敗だったのだが、いつ、何時、誰の挑戦でも受けるとマイクパフォーマンスしたのも悪かったのか?
まさか、タマが名乗りを上げて来るとは。
違うからって囁いたのに、タマまでマイクパフォーマンスみたいにおれとやれとか騒ぐから盛り上がるんだけど、どうよ。
「なんか、納得してない顔だよね? 」
ミツキが全部終った後の夜に、空母の食堂で聞いてきた。
「何で、乗っちゃったかなぁ」
「正直、あそこまでノリノリになると思わなかったわ」
「いや、アドレナリンでちゃって」
笑えねぇ。
「でも、クルーも喜んでたし、良いんじゃないですか? 」
ルイス中尉がノリノリだった。
やっぱり、アメリカ人ってそう言うノリあるよね。
「これ、結構、儲かるんじゃないか? 」
親父が金貨の枚数数えて大喜びだ。
「何か、マジでプロレスの興行やりそうだね」
「ああ、考えてた。ロープに振るのはダイナミズムが出るけど、何やってんだって言われそうな感じだから排除せんといかんけどな」
「なるほどね」
「いつ、何時、誰の挑戦でも受けるって猪木だよな」
「ついノリで」
「あの人もブックやってるプロレスラーなんだけど、凄味あるよな。ペールワンの試合をブックで出来なくて、なんで興業だって分かってくれないんだって控室で混乱しまくってたのに、しれっとガチの試合したら相手の目を抉って脱臼させたりとか、天龍ともしれっと試合中にブック抜きで指を折ってるからな。そういうシュート系に強かったんだろうな」
「まあ、そうだけど、ファンかよ」
「まあな」
「へー」
「え? 意識して言ったんじゃないの? 」
「ノリです」
「そりゃ、たいしたもんだ」
親父が笑った。
身体の斬られた部分や打撲はスキル回復で治して貰ったものの、親父に興業を頼んだら、俺の試合のギャラが安かった。
何と言うケチ。
「女帝の駆逐艦が止まりましたよ」
ヨシアキ大佐が食堂に走って来て俺に報告してくれた。
「やったんだ、ゴルゴ」
「はい、スクリューだけ綺麗に壊したみたいです」
「「「「「おおおおおおお」」」」」
親父達が驚いたように唸る。
「どんどん逸材が集まって来るな」
親父が笑った。
全部変態なんだけど。
凄く切ない。




