第五十二部 第一章 プロローグ
次にどこに行くかで、皆で揉めた。
孔明と樹老人は麒麟族の本島を言うが、俺は反対してる。
他の人間は様子見だ。
「分家でも反応ヤバかったんだから、燐女さんいるから無理だろうに」
「だが、七支族は必要だぞ」
樹老人が珍しく強硬だ。
こないだ、気分が良かったせいだろうか。
「皆さんはどう思うのですか? 」
カザンザキスさんをはじめ皆を樹老人さんが見まわした。
「どちらとも言えませんね」
「では、ここは多数決といきましょう」
孔明が羽根で出来た扇子で口元を隠して皆を見た。
どうも、口元を隠してるのが気に食わない。
何かあるのだろうか。
「では、決を採ります。行った方が良いと思う人」
孔明が言うと、燐女さんが外から食堂に走って入って来て手をあげた。
「三人ですね」
燐女さんを籠絡していたと言うのか。
卑怯者め。
「では、行かない方が良いと思う人」
誰も手を上げない。
くそぅ、親父まで何で。
「何で、上げないの? 」
「保留だからだ」
親父が答えた。
「まあ、どうなるか分かんないよね」
国王も首を傾げた。
「では、決まりのようですね」
孔明が笑った。
「何が? 」
「保留は票に入りませんので……」
「汚い! 」
「ふふふふ、よもやの鳳雛に裏切られると思いませんでしたが、燐女さんが参加した以上、私の勝ちです」
「え? 」
頭の上の鳳雛を手にとって降ろすと羽根を手のように挙げている。
「くっ、お前は味方してくれたのか」
「おれ、とーちゃんの味方」
鳳雛が俺にパタパタと羽根を振って答えた。
「だから、こちらの勝ち」
鳳雛が孔明に断言した。
「何ですと? 」
孔明が羽根で出来た扇子で口元を隠して、ちょっと驚いた顔をしている。
「あそこ」
鳳雛が指差すとこないだから面倒を見てた鳳凰の子供達の三匹が食堂の入り口に立って羽根を手のように挙げている。
「「「我々、ご主人様の味方。」」」
鳳凰の子供達が揃って答えた。
こないだにアオイとミツキに苦言を言って、鳳凰の子供の生活を大幅に改善したので、凄く懐いてくれてたのだが、そうか……。
「ありがとう。ふふふふ、孔明、どうやらこちらの勝ちだな」
俺が気持ちよく笑った。
「鳳雛の勝ち」
机の上の鳳雛が胸を張った。
「「「そもそも、燐公子は我々の敵」」」
鳳凰の子供達が並んで答えた。
「はははははは、なるほど策士策に溺れるですか、流石は私と並び称される鳳雛やりますね」
孔明が羽根で出来た扇子で口元を隠して笑った。
突然、燐女さんを追って来てたムラサキが飛び膝蹴りを孔明にかました。
だが、相変わらず孔明は気にしてない。
「あんた、十二使徒筆頭が、産まれて七十二時間しか経ってない鳳凰の赤ちゃんに負けるってどうよ! 」
「ははははは、勝敗は兵家の常と申します」
いや、それ、曹操の言葉だし。
ムラサキが殴る蹴るを孔明にしてる。
あ、孔明の目がキラキラしてる。
燐公子を味方に引きずり込んだとこといい、またマッチポンプかよ。
でも、まあいいか。
しょげてる樹老人さんには悪いが、面倒は困る。
「お前達、後で御馳走だな」
俺が鳳凰の子供達に言うと、凄くうれしそうにはしゃいでた。
なかなか可愛い。




