第五十一部 第三章 嵐
「魔王様がいなくなって、私達の収入も途絶えて、こないだ変な嵐が起こったせいで、最後の食糧を積んだ船が沈んでしまって……」
シェラが蹲って泣き出した。
そうですか、変な嵐ですか。
俺が孔明を見ると、孔明が羽根で出来た扇子で顔を隠した。
「えーと、こないだ、麒麟族の集落に渡して減った食糧は買ってきて冷蔵庫とか倉庫に入れたんだよね」
俺がクルーの人に聞いた。
「はい、アオイ様とミツキ様にワイバーンで運んで貰って大目に積んでます」
「じゃあ、それを少し送ったげて」
俺がクルーの人に頼んだ。
「ええ? 本当ですか? 」
シェラが凄く喜んだ。
親父が横で悩んでいたが決めたように俺を見た。
「俺の金塊を一部、こっちの金に変えれるか? 」
「いや、良いけど」
「じゃあ、こないだからの未払い分とこれからの分を先渡しで金を渡すわ」
親父がシェラに言った。
「えええええ! ありがとうございます。魔王様」
シェラが感激してるが、未払い分だから、お礼を言う事無いんじゃね?
と言うか親父が投資もするとなると……。
「まさか、ケモナー喫茶か? 」
「何っ? そういや、そうだな! 」
親父の目が輝いた。
「え? 違うの? 」
「いや、こいつら情報網としたら、凄く優秀なんだ」
親父が頭を掻いて答えた。
何ですと?
親父が投資するなら間違いない。
「どうだろう。親父。俺も金を出すから、情報網としても共同経営と言う事で。追加でさらに出すから」
言いながら、親父とシェラを見た。
「え? 本当ですか? 」
シェラが涙ぐむ。
ええ子や。
「待ちなさい。ケモナー喫茶なら、我々も更に金を倍ブッシュで」
国王が良い笑顔で参加して来た。
「貰っちゃいなさい。その後の事は後で詰めよう。とりあえず、急場はこれで凌ぎなさい」
俺が懐からいつも非常用に持ってる金貨の入った袋をドンと渡した。
「あ、ありがとうございますぅ。これで飢えから皆が助かります」
「健康的に太るんだぞ」
俺が笑顔で答えた。
ケモナー喫茶もやるならガリガリより、少しぽっちゃりの方が人気あるからな。
情報網とケモナー喫茶とか一粒で二度美味しい。
役に立たない七支族とか、金のかかる話はもーたくさん。
やはり、事業はすべてを癒すのだ。
「とりあえず、じゃあ、俺も島の方に行くか」
親父が笑った。
「島なんてあるのか? 」
「ああ、結構デカい島にケモミミ族の猫族が集まって住んでんだ」
「なるほど」
「今、思い出した」
くくっ、本当に使い捨ててたとは。
親父ながら、尊敬するぜ。
やはり、悪徳商人はそうでないと。
戦するにも金は必須でっせ。




