第五十部 第六章 増えた許嫁
「は? 」
ダグダ師匠が困惑している。
亜龍人は、どちらかと言うと戦闘民族らしくて簡素な建物を好むらしい。
まるでモンゴル族のような布のような特殊な材質で出来た天幕を家にしていた。
中央の球場みたいな天幕が、この島の行政部らしくて、その奥に体育館並みの大きさの天幕が三つある。
一つが迎賓館で、もう一つが長老とその家族の住む天幕、そして最後が結婚式の為に作られた天幕だそうな。
式の後は、これがダクダ師匠の家になるらしい。
つまり、亜龍人の次のトップと認められたのだ。
問題は許嫁がいつのまにか四人に増えてたようだ。
「私はお孫さんと結婚すると聞いていたのですが? 」
ダグダ師匠が困ったように聞いた。
「ははははは、全部、私の孫でございます」
ビグルが良い笑顔だ。
「ええええ? 」
ダグダ師匠が凄い困っている。
「私はこの方がお孫さんで、私と結婚して欲しいとの事だと聞いていたのですが」
ダグダ師匠が一際目立つ赤色の色が薄く広がった亜龍人の娘さんを指して聞いた。
「いえ、あくまで、私の孫ですので、紹介の時は一番年上の者が挨拶する習いですので」
「ええええええ? 」
ダグダ師匠が混乱してる。
「あの、私の事、お嫌ですか? 」
「そんな、剣聖様に断られたら行くところが無い」
「そんな、どうして」
会ったばかりのダグダ師匠の許嫁達が悲嘆にくれる。
「ダグダ様、ここは、我が君のように全員を幸せになさるべきでしょう。それが師としても勤めだと思います」
孔明がきりりと言った。
俺の周りの許嫁がそれを聞いて嬉しそうだ。
「全員を幸せにだって」
ミツキが嬉しそうに笑った。
これで、ノーとは言えんだろうな。
「ああ、良いのかな? 」
ダグダ師匠が困ったような顔をしながらも少し嬉しそうだ。
何でも、どれも亜龍人の中でも掛け値なしの美人ぞろいなのだそうで、亜龍人の若い連中が羨ましがってるとの話も聞いた。
「では、積もる話もあるでしょうし、ダグダ様も隣の天幕でお話し下さいませ」
ビグルさんがそう勧めた。
流れで何故か許嫁達も明日の結婚式の料理など手伝うそうで、そちらのテントに行くことになった。
「おかしい」
「変だ」
クニヒト大佐と和真が小声で囁いた。
「言われてみれば……」
カルロス一世の声も続いた。
「どう言う事だ? 」
俺が小声で聞いた。
「いつのまにか許嫁が増えてるのはおかしい」
クニヒト大佐が訝しんでる。
「この手は俺がやられた手じゃないか? 」
和真の顔が歪む。
「いやいや、そりゃ君達だけの話でしょ。ここはヤマトじゃないし」
小声で言いながら、孔明を見たら羽根で出来た扇子で口元を隠しながら、目が爛々としてる。
何かやったぁ?
またしても、マッチポンプ神算鬼謀かよ。




