第五十部 第四章 慟哭
「「「「嘘だろ? 」」」」
許嫁達が化粧したまま出て来たせいで、いつもと親父や国王達の反応が違う。
「ダグダさんおめでとう」
「おめでとうございます」
許嫁が一斉にお祝いを述べた。
「な、何があったの? 」
国王が驚いた。
「凄いな。見違えたなぁ」
宰相がアオイとミオを見て驚いてる。
カザンザキスさんが涙ぐんでる。
「いや、サクラと深雪と私の回復魔法でいろいろとやってみたら、皆、綺麗になっちゃって」
そういうミヤビ王女もしっとりとした美しさだ。
すげぇ。
「皆さんのおかげでこんなにきれいに」
綺麗なドレスを着て人魚姫が回る。
「「「だ、誰? 」」」
半魚人の面影が無いから、親父達が誰だか分からなくて首を傾げてる。
「ああ、人魚姫さんよ」
ミヤビ王女が笑った。
「「「ほんげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ! 」」」
親父達の衝撃が凄い。
気持ちは分かる。
俺もすげぇびっくりしてる。
しかも、素地が良いらしくて、本来はコッチみたいだと言う話に衝撃を受けた。
なんぞこれ。
「ぁああぁあぁあぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁ! 」
和真が突然叫び声をあげた。
「ど、どうした? 」
俺が慌てて声をかける。
和真が耳をふさいで座りこんだ。
「大丈夫? 」
紅葉と恋が心配そうに覗き込んだ。
勿論。いつもの三割増しくらい綺麗だ。
「あああああああああ。許してぇぇぇ! 許してぇぇぇぇ! 婿になりますぅぅぅ! サイトウ家の婿にぃぃぃぃ! 」
和真が叫んだ。
「こ、これは……」
サイトウ公爵は何をしたんだ?
「ああ、分かるわ。凄い綺麗なんだよ。化粧すると……。それが豹変するからなぁぁぁ」
はらはらとカルロス一世が涙を流す。
「綺麗になった姿でアレを立たせて襲う。修羅戦術だよ」
ひそひそとクニヒト大佐が囁いてきた。
「何それ? 」
ひそひそと俺が聞き返す。
「あるんだ、そういう戦術が。びびったままじゃ立たないだろ? 」
その時、俺の顔は恐怖で張り付いていたと思う。
こええ。
こええよ、修羅。
ひょっとして、素直に突撃してた俺が馬鹿なのか?
恐ろしや。
「まあ、ちょっとすまんけど。と言う訳で皆は結婚式に参加してくれ」
ダグダ師匠が気まずそうに俺たちに言うと、許嫁の背景に花が咲いたみたいになった。
ぐはっ!
「来年だしな。ちょうど練習で良いんじゃないか? 」
国王が駄目押ししてくる。
「来年は結婚する方だしな」
宰相が駄目押ししてくる。
くくくっ、辛い。
「ふふふふふ、我が君、人類変態化計画を推進すれば、結婚の意味すら変わってきます。私にお任せを」
孔明がさわさわと俺に囁いた。
何だと?
そんな、神慮遠謀があったとは。
侮れない。
今度こそ、マッチポンプで無いと良いけど。
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