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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第六部 第七章 修羅

「流石にワイバーンが疲れて来たわ」


 ミヤビ王女がワイバーンの様子を見てため息をついた。


「一度、どこかに降りて休ませるか? 」


 俺が提案した。


「待って、そろそろ、あれが出ると思うの」


 アオイが心配そうだ。


 相当警戒してる顔をしてる。


「ま、まだなんかあるの? 」


 俺が焦って聞いた。


「修羅ですね」


 ムラサキが断言した。


「修羅? 何それ? 」


 良く理解できんな。


 何よ修羅って。


「あえて言うなら、猛禽の進化系ですね」


 ムラサキが震える様に答えた。


「ああ、修羅は男の娘もやばいですからね。もう、見境ないですから」


 アオイが震えるムラサキを見た。


「何だよ! 何があるんだよ! 」


 たまりかねて、アポリトが叫んだ。


 さっきから、小声でヤマト怖い、ヤマト怖いって言っている。


 壊れてきた?


 困ったな。


「つまり、結婚適齢期を遅れた猛禽の事を修羅と言います。大体、猛禽は必ず目標を達成します。だからこそ、猛禽と言われるのです。しかし、猛禽でまれに運の悪いものが、結婚適齢期までに相手を落とせません。その慣れたスキルと貪欲さで恐ろしい相手になります。それが修羅です」


 アオイが冷静に答えた。


 むう。


 女性によってはキレそうな話だな。


 その時、下の山の谷間から、何か出てくる。


 頭が八ある巨大な巨大な蛇の怪物だ。


「嘘っ、ヤマタノオロチ? 」


 ミヤビ王女が驚いた。


「な、何だあれ? 何だあれ? 」


 アポリトにもう余裕が無い。


「とうとう、出てきたんですね。修羅の中でも別格のルイ叔母様」


 アオイがワイバーンの背に仁王立ちした。


 ヤマタノオロチの八つの頭の一つの上に、一人の綺麗な女性が立っている。


 身体の線がぴしっと出ている綺麗な革の甲冑をつけて、胸元はバストの上側が見えるような色っぽいデザインだ。


 何と言うか、凄い妖艶だ。


「おや、アオイじゃないの。久しぶりね。元気にしてた? その様子だと、まだユウキには手を出してないのね」


 ルイ叔母さんがアオイに微笑んだ。


「私はちゃんとユウキ様に選んでもらおうと思ってます。強引にはしません」


 アオイが答えた。


「ふふふふふ、私もそう思ってた時がありました。貴方は私に似てるわね」


 ルイ叔母さんが懐かしそうに笑った


 え?


どう言ったらいいんだろ。


「とりあえず、あのモンスター、何? 」


 俺がヤマタノオロチを指差した。


「ルイ叔母さんが可愛がってるヤマタノオロチよ。日本神話でも出て来るそうじゃない」


 ミヤビ王女が答えた。


「可愛がってるって、何? 」


「おや、お前がユウキかい? 」


 ルイ叔母さんが声をかけてきた。


「はい」

 

 俺が答えた。


「シュウジの息子だね。面影があるね」


「叔母様、もう止めてください」


 ミツキが困ったような顔をした。


 あれ?


 ミツキも面識あるの?


「ミツキちゃん。覚えておきなさい。恋は真剣勝負なの」


 ルイ叔母さんが答えた。


 なんか、違うわ。


 ついてけない。


「あれ? 甥と叔母は駄目なんでは? 」


 俺がルイ叔母さんに聞いた。


「ふふふ、恋は障害を乗り越えるものよ」


 なんじゃ、そりゃ。


 本当に見境が無くなってる。


「ユウキ様! 逃げて! 今のやり取りはユウキ様が誰なのかルイ叔母様が確認したかっただけなの! 」


アオイが叫んだ。


「え? 逃げるって? どこへ? 」


 俺が大型のワイバーンの背の上で首をひねる。


 アオイがとっさに俺を突き飛ばす。


 落ちそうになって大型のワイバーンの首に慌てて捕まった。

 

「だ、大丈夫か! 兄弟! 」


アポリトが立ち上がって叫んだ。


 その時、遥か上空からスカイダイブして来た、同じく身体の線が出る革の甲冑を着こんだ綺麗な女性がアポリトを捕まえて、そのまま大型のワイバーンからアポリトを抱きしめたまま、さらに下に飛んでダイブした。


「あら、逃げられちゃったわね」


 ルイ叔母さんがおかしそうに笑った。


「あれは、ヒトミ叔母様! 」


 悲鳴を上げるアポリトを捕まえている女性に向かってミヤビ王女が叫んだ。


 落ちていくヒトミ叔母さんとアポリトを追って、物凄いスピードで、鷲の前脚とライオンの後脚を持った、背中にコウモリのような翼をしたドラゴンがそれを捕まえた。


 そのドラゴンには同じく妖艶な身体の線が出てる革の甲冑を着た女性が乗っている。


「あれは流星のように飛ぶリンドブルム! と言う事は、アイ叔母様ね! 」


 ミツキも叫んだ。


 その間に俺の襟を噛んで、大型のワイバーンが口で背中に戻してくれた。


「あれ? あれだけのモンスターいて、この戦略なら、アレクシアの時に叔母さん達が戦ってたらあっさり勝ったんじゃね? 」


 俺がそう聞いた。


「女はね。恋にだけ本気を出すのよ」


 こちらに向かってルイ叔母さんがにこっと笑って答えた。  



 


 


 

 

 

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