題五十部 第三章 結婚
「でだな。話を戻すが、味方をしてくれるらしいんだが……」
樹老人が俺に説明を始めたが、俺が手を突き出して止めた。
「結構です」
「何で? 」
「いや、もう、<終末の子>って罰ゲームなんじゃないかと……」
「おおおおぃ、またかよ」
樹老人さんの顔が歪む。
「どちらにしたって、私はそろそろ商人にって思ってんです」
「そうは行きませんよ、我が君」
孔明がきりりとして答えた。
「おお」
樹老人さんが少し嬉しそうだ。
「どう言う事だ」
「我が君の大望を果たすために参上しました私といたしましては、それでは困るのです」
「おおおお、姿を見た時はどうかと思ったが、やはり十二使徒の筆頭殿は流石だな」
樹老人さんが感動してる。
アホや。
「いえいえ、人類変態化計画の為ですから」
孔明が羽根で出来た扇子で口を隠しながら、目を光らせる。
横の樹老人さんの脱力感がハンパ無い。
「いや、それは意識下の話だからな」
「いえいえ、我が君は欲しておられるはず。変態が溢れる世界を」
孔明が自信満々に答えた。
いやいやいやいや、ねーわ。
単に自分の噂への隠蔽だけだよ。
「息子よ。自分に正直になるんだ」
親父がキリリとして答えた。
「そのとおりだ。あれはお前の魂の叫びなのだぞ」
国王がすでに決め付けてる。
「変態こそ、世界を救うのです」
ルイス中尉も目が変。
「貴方は変態界の覇王なのですぞ」
孔明がさらに熱く語る。
それってどーなの?
「いや、まあ、樹老人さんがフリーズしたから私が言うけど、孔明さんの話でもこれからいろいろあるみたいだし、亜龍人ははっきり言うけどかなり強いよ。七支族だし。味方につけるべきだって話で、向こうで話しつけて来たんだが」
ダグダ師匠が困ってる。
「えええ? ぶっちゃけ、うちの許嫁で十分じゃないっすか? 」
「いや、全部殺すなら、それで良いけど、そういう訳じゃないんでしょ? 」
おお、なんと言う説得力だ。
加減できる人いないもんな。
「確かにな」
横のカルロス一世の一言が重い。
「諦めろよ。手伝ってくれる方がいるのはいるから。うちの嫁も殺戮くらいしか出来ないし」
仲間になった和真君の魂の叫びが辛い。
「そうですね。確かにそうかもしれません」
俺が初めて同意した。
「だろう? でないと弟子の為に結婚決めた俺の立場が無いし」
ちょっと、泣きそうな顔をダグダ師匠がした。
「な、何で! そんな事を! 」
俺が思わず叫んだ。
「いやいやいや、それは悪手でしょ」
和真も叫んだ。
「師匠まで、この地獄に……」
カルロス一世が絶句した。
親父と国王達とルイス中尉がダグダ師匠に敬礼した。
「いや、おかしくね? 別に結婚で良いじゃん? お幸せにって話だろ? 」
ニコライさんが横で呆れてる。
「うわぁ、ダグダさん結婚するんだ! 」
甲板に出て来た許嫁達が叫んだ。
しまった!
これはヤバイ話を許嫁達に聞かせてしまった!
眩暈が止まりません!




