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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第六部 第五章 クニヒト大佐

「ありがとう助かったよ。ゲロじゃなかった、えーと、クニヒト少佐じゃないやシ〇ア少佐なのか? 」


 俺がすまなさそうに、俺達と並んで飛ぶ、赤い甲冑を着たワイバーンに乗ったクニヒト少佐に声をかけた。


「私はシ〇ア大佐だ」


 シ〇アであるクニヒト少佐が答えた。


「あれ? まだ洗脳解けてない? 」


「救世主が大佐だったんで、クニヒトも少佐から大佐に昇進したの」


 俺の前で大型のワイバーンを操るミヤビ王女が教えてくれた。


「え? そうなの? 」


 軽いっ、出世って本来功績がともなうだろうに。


 まあ、昔の俺も人の事言えないが。


「そうなると中尉から一気に少佐を経て大佐か。凄いじゃないか」


 と言いつつもいろいろおっ被せてるし、このくらいの出世は当たり前だよな。


 シ〇アことクニヒト大佐は無言だ。


「その、なんだ、いろいろおっ被せて悪かったな。助けてくれて本当にありがとう」


 俺がシ〇アことクニヒト大佐に頭を下げた。


「気にするな。猛禽の恐ろしさは私も身で味わった」


 シ〇アことクニヒト大佐がほろ苦そうな顔をした。


 やばい、池田〇一さんの声なんで、すげぇしみじみ感じるわ。


 しかも、我が身だと?


「やっぱり、救世主役に選ばれたから、襲われたのか」


 俺が言いながら、今回の件で猛禽の怖さを知って、本当に悪い事をしたと思った。


 すまなかった。


「俺、パパになるんだ」


 池田〇一さんの声でとんでもない事言ったぁぁぁぁぁぁぁ!


「はあああああああああ? 」


 俺が驚いて変な声を出す。


「何度も、何度も襲撃されたのよ」


 ミヤビ王女が悲しそうな顔をした。


「マジか! 」


 アポリトが横で身震いした。


「ちょっと、何だか、信じられないんだけど」


 ミツキが困惑した。


「一見は優しく普通に接してくるからね。それで、ある日突然豹変するのよ」


 ミヤビ王女が恐ろしい顔でミツキに答えた。


「都市伝説かと思ってたわ」


 ミツキが驚いた顔をした。


「いいえ。どちらかと言うと昔からの伝統行事みたいなものよ。勿論、私みたいにそういうのはちょっとって女の子もいるけど、まあ、昔から女性の二割から三割は猛禽かな」


「まあ、王家や大貴族は猛禽の割合が、もっとずっと多いですけどね」


 アオイが答えた。


「先先代の国王なんか、貴族が開く誕生パーティを毎年やって貰ってて、十五歳までは普通の誕生パーティーだったの。でも、十六歳の誕生日に今まで仲の良かった貴族の女性達が豹変して、いきなり先先代国王は十七歳で十八人の嫁を娶る事になったわ。つまり、安心させてぐっと食いに来るのよね」


 ミヤビ王女が真剣な顔だ。


「伝統行事ってなんだ? 」


 聞いてて呆れ果てた。


「もともと、聖樹様はこの星が駄目になり、人が減り過ぎたのを防ぐために昔の神族がお作りになったの。だから、聖樹様からしたら、これは良い事なの。子供が増えるから」


 ミヤビ王女が困ったような顔をした。


「おかしいでしょ? 」


 俺が答える。


 聖樹様の少子化対策ですか。


 めまいがする。


「聖樹様からしたら、おかしくない事になっちゃうの。滅びかけたこちらの人間を復活させる為だから。基本が産めや増やせやだし。それと、多分、貴方のスキル逃亡は全部使えないわよ。聖樹様が逃げるのを手伝わないから」


「はああああああああああああああ? 」


 なんだよ、その日本の戦前の標語みたいなやつ。


 それより、スキルで逃げれないのか。


 さっきのゾンビの時使わなくて良かった。


「あー、と言う事は彼女は大丈夫なのかな? 」


 目がキョドった感じでアポリトがミヤビ王女を見た。


「大丈夫よ、猛禽なら婚約して、これだけ時間が経てば、普通なら一人くらい産んでるし」


 アオイが答えた。


「いやいや、彼女、俺のこと避けてたし」


「いえ、猛禽にはそんなの関係無いわ」


 アオイが怖い顔で言った。


「こわっ! 何なの? こわっ! 」

 

 あのアポリトが身震いしてる。


 ヤバイな。


 このままいるとアポリトまで変になっちゃう。


 あ、変になっちゃうと言えばクニヒト大佐もやばいか。


「なあ、シ〇アことクニヒト大佐。 もしよかったら、お前も一緒に来るか? 他所の国なら結婚しても一日三回なんて言わないみたいだし、このままだと、もっと猛禽に襲われてしまう」


 俺が心配そうに聞いた。


「大丈夫、私はもう立たないから」


 シ〇アことクニヒト大佐が少し悲しそうに答えた。


 お前、池田〇一さんの声でなんてことを!


「え? 立たなくなっちゃったの? 」 


 俺が聞いたらミヤビ王女が目を逸らした。


 知ってたんかい!


 こ、怖すぎる。

 



 


 

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