第六部 第四章 戦線離脱
じりじりと日が落ちていく中に、やっとワイバーンがこちらに飛んでくる。
「やれやれ、どうなる事かと思った」
俺がホッとして呟いた。
動揺してたアポリトもほっと一息ついたように笑顔になった。
「ごめんね。そういう訳で、今日はここに泊まれないわ」
アオイが老夫婦に言った。
「こちらの方こそ、こんな事になるとは思いませんで」
老夫婦が泣きそうになってる。
「いいのよ。猛禽相手だから仕方ないわ」
アオイがニッコリ笑った。
「兄弟、索敵はどうだ? 」
俺がアポリトに聞いた。
「いや、動きは無い。千人程度が遠まわしに見てるだけの感じだ」
アポリトがスキル索敵を使って見てくれた。
「多分、暗くなるのを待ってるだけでは無いですか? 」
ムラサキが心配そうだ。
「最初に見た時と同じで、全く動きに変化はないのか? 兄弟? 」
俺が再度聞いた。
「ああ、大丈夫だ」
アポリトが降りてくるワイバーンを見てほっとしたようだ。
ワイバーンがゆっくりと、こちらに降りてくる。
動きに変化が無い?
それは、おかしい。
「まずい、その千人はおとりだ! 」
俺が慌てて叫んだ。
「何っ! 」
アポリトが驚いた。
「流石は私の夫になる男ね。気が付くなんて素晴らしいわ」
ワイバーンの上にアオイに良く似た容姿の少女が立ちあがる。
「お前は妹のミオ! 」
アオイが激怒して怒鳴る。
「ほほほほ、お姉さま。美味しい男を独り占めとはいけませんわ」
確かにアオイと良く似てるが、少し幼くちょっとボーイッシュな感じだ。
その子がワイバーンの上で高笑いしてる。
「ふざけないで」
「大丈夫、私は二番目だから」
ミオが言った。
全然似てないけど、綾波〇イの真似かな?
疲れる。
「誰? 」
俺がアオイにとりあえず聞いた。
「母親が同じである私の妹です」
アオイが答えた。
「そうか、これはカザンザキスさん、また、泣くな」
もう、もう、本当にうんざり。
なんでヤマトの血ってこうなの?
「まずいぞ! 兄弟! 様子見してた千人の奴らがこちらに来る! 」
「はああああ? 」
「安心して旦那様。千人のうち。旦那様の相手をするのは私達三十人だから」
別のワイバーンに乗ってた少女が笑った。
「貴方はイジュウイン大公の所のアンナ! 」
アオイが言った。
「ちゃんと回復魔法が使えるものを用意してございますから、ご安心くださいな」
ミオが高笑いした。
「ちょっと、待て! 後の九百七十人は誰が相手するの? 」
アポリトが震える様にミオに聞いた。
「あんたに決まってんじゃない」
「えええええええええ! 死んじゃう! 死んじゃうよ! 」
アポリトが少女の様に叫ぶ。
大丈夫かな兄弟。
どんどん壊れて言ってるような。
「安心しなさい。回復魔法を使える猛禽も百人以上いるのよ」
ミオが笑いながら叫んだ。
その時だ。
山の方から凄い早いワイバーンが飛んで来た。
そのワイバーン自体が赤い革の甲冑をつけて、角のある兜をつけてる。
「くっ、赤〇彗星だと! 」
ミオが舌打ちした。
もう、何が何やら分からない。
頭がおかしくなりそう。
その赤〇彗星のワイバーンの後に、大型のワイバーンが来て、ミヤビ王女が乗ってる
「早く。このワイバーンに乗って。私は味方だから」
ミヤビ王女が大型のワイバーンを俺達の所に降ろした。
その間に赤い鎧を着たワイバーンが猛禽達の乗るワイバーンに肉迫する。
赤い鎧を着たワイバーンは凄く早い。
「見せて貰おうか、猛禽のワイバーンの性能を! 」
赤い鎧を着たワイバーンに乗ったゲロことクニヒト少佐のシ〇アが叫ぶ。
猛禽のワイバーンって使いながら、見せて貰おうか、連邦のモ〇ルスーツをって言うシ〇アの名台詞を変えて言うと言う事は、少しはゲロの洗脳が解けたのかもしれない。
次々と赤い鎧のワイバーンが他のワイバーンを叩き落としていく。
助けに来てくれたんだ、ゲロと呼ぶのはもう止めよう。
クニヒト少佐のシ〇アだ。
俺達がミヤビ王女の連れてきた大型のワイバーンに乗ると皆でそこを脱出する。
俺達が飛び立ったその場にギリギリで千人の猛禽が殺到してくる。
ゾンビかよ。
それも映画でやってたリニューアルした足の速いゾンビ。
ワイパーン達も悔しそうに赤いワイバーンを炎で落とそうとするが当たらない。
「当たらなければどうということはない」
クニヒト少佐のシ〇アがそれをすべてよけながら言った。
あれ、まだ洗脳解けてないのかな?
また、シ〇アのセリフだよ。
良く分からん。
と思いながら、俺達は猛禽のワイバーンがこちらを追えないのを確認してから、その場を飛び去るのであった。
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